むかし、あるところに貧しい父と子がいました。
ある満月の晩のこと。
父と子は町に出かけた帰り道で、カボチャ畑の脇に通りかかりました。
父はカボチャを見ると無性に食べたくなり、子どもにこう言いました。
「カボチャを取ってきてやるから、誰かに見られそうになったらすぐに知らせろよ」
すると、父がカボチャ畑に入ったとたん、子どもが叫びました。
「お父さん、見られてるよ!」
父はびっくりして畑に身を潜めましたが、人の気配はありません。
「なんだ、誰もいないじゃないか」
しかし、子どもは空を指さし、言いました。
「まん丸のお月さまが見ているよ!」
父は、空を見て言いました。
「そうだな。お月さまが見ているな」
父はカボチャを盗むのをやめ、子供と手をつなぐと、
満月に照らされた夜道を帰ってゆきました('◇')ゞ〈日本〉