口蹄疫の拡大が続いている宮崎県で、東国原英夫知事が記者会見で「非常事態」を宣言した。会見では、感染地域内での全頭殺処分に踏み切るタイミングについての質問が集中。「検討中」という言葉を繰り返す知事と、具体的なタイミングを知りたい記者とが言い合いになり、ついには知事が激昂して席を蹴ろうとする一幕もあった。いったい、どんなやり取りがあったのか。

 知事の発言が飛び出したのは、2010年5月18日に約1時間にわたって行われた定例会見だ。記者からは多数の質問があったが、その全てが口蹄疫問題に関連したものだった。

■やり取りヒートアップ、知事は何度も机をたたく

 冒頭の知事の発言では、約7分30秒にわたって、

  「懸命の防疫措置を講じてきたが、拡大を止められない。このままでは、本県畜産が壊滅することはもちろん、隣県、九州、全国にも感染が拡大することを否定できない事態」

などと、非常事態宣言を発令した経緯について説明。宣言は、感染地域とその周辺地域では、農家以外の人に対しても不要不急の外出を控えるように求めるもので、記者からも宣言の内容や位置づけについての質問が相次いだ。

 宣言は、現段階では「お願い」ベースだといい、西日本新聞記者の

  「『(消毒のための)薬剤を(県が)配ることは考えていない』というのは薬が足らないということか」

という質問に対しては、知事は

  「まだ初期的だということ。今後検討していかないといけない」

と答えた。これに反発したのは南日本新聞の男性記者で、会見が始まっておよそ22分が経過した時点で、

  「『非常事態にレベルがある』という話は初めて聞いた。非常事態そのものではないのか」
  「このまま今の方法を続けるのか、ワクチンなのか、それとも一定地域の中での強制(殺)処分なのか。検討しているか」

などと質問。これに対して、知事は

  「検討しています」

と回答したのだが、その検討内容について、約4分間にわたって、押し問答が続いた。記者は、殺処分などの判断を行う主体は知事だということを指摘する一方、東国原知事は、判断には政府や農家、地元自治体との協議が必要だということを強調。議論は平行線をたどった。

 書き起こすと、ざっと、こんな具合だ。

  知事「法的には(判断する主体は)知事ですよ、確かにそうですよ、でも国の協力がなかったら、いいですか。全頭殺処分って、いくらかかるって知ってますか?」
  記者「いや、だから、今、お金のことを言っていてもしょうがないんですよ。止めないといけない」
  知事「しょうがなくないんですよ、やらなきゃいけないんですよ。慎重にやらなきゃいけないんですよ、地元の対策も、同意も得なけりゃいけない。手塩にかけた全頭(を処分)、もしやるとしたらですよ。じゃないですか?」
  記者「そのとおり」
  知事「それを簡単に…」
  記者「簡単に言ってない」
  知事「簡単に言ってますよ!」
  記者「言ってない、言ってない」
  知事「相当な覚悟が必要なんですよ!これは」
  記者「ですから、考えているかどうかを聞いているんです」

 この段階で、すでに「言い合い」状態だが、さらにやり取りはヒートアップした。知事は何度も机をたたいていた。

  記者「じゃあ今のままで(殺処分数が)20万いったらするんですか?」
  知事「だからそのポイントを今検討している。どこになったら非常事態というか、踏み込んだ対策をするか検討してるんです」
  記者「してください」
  知事「だからしてるんです。してるって言ったのに、あなたが『してるんですか』って。してますって!」
  記者「『国が、国が』っておっしゃるから」
  知事「『国が』って言ってません。協議をしないと、これはねえ、パンデミック、伝染で、いいですか、もう宮崎県だけの問題じゃないですよ。ですから…」
  記者「いや、そうですけども、宮崎県のことだから、宮崎県の知事がリーダーシップを判断しないといけない」
  知事「やってるでしょう。やってますよ、検討してますよ」
  記者「じゃあ、あまり『国が国が』って言わないでくださいよ」
  知事「『国が国が』って、国と協議をしないといけない。市長村とも協議をしないといけない。地元の皆さんとも意見交換しないといけないじゃないですか!私独断で、『ハイ、やりますやります』って。それは現場を知って、現場の人たちと話をしなきゃ分からないでしょう?それ、分かってくださいよ。プロでしょ?あなた?」

■質問にキレ、席を立とうとする

 このように話はかみ合わないままだったが、さらに、別の女性記者(社名は名乗らず)が、

  「軽々に(判断)できないことが良く分かっているから、我々はどういう風に国が考え、県が…」

と食い下がると、知事は

  「だからそれは検討してるんです。話し合ってるんです。一生懸命!毎日!寝ずに!それをですね、検討してるだとか甘かっただとか、処理が防疫対策がどうのこうのとか、我々は一生懸命やってるんですよ、我々は。地元の方たちも一生懸命やってるんです」

と一気に話し、

  「以上です。帰ります」

と、席を立とうとした。記者団が

  「知事、そういうことではなくて、我々は…」

となだめると知事は席に戻ったものの、

  「ケンカ売ってるのはそっちじゃないですか?」

と収まらない様子。記者は改めて

  「今、どのような検討をして、それがどういうタイミングで、どういう判断をなさるかを知りたかったんですよ…」

と質問したものの、

  「軽々にものを言えますか?じゃあ、ずーっと私がですね、それを言及してこなかったのは、現場の、発生農家さんの気持ちが分かるからですよ。軽々に私が全頭処分って言ったら、みんなパニックになりますよ!それは、最後まで言っちゃいけないことなんです。私は、そう理解しているんですよ」

と話し、最後まで議論は平行線をたどっていた。

 一見大人げないと見える東国原知事の対応だが、ネット上には東国原知事を擁護する声もある。すでに、会見のやり取りを細かく文字起こしした内容を掲載しているブログもあり、その中では「質問の内容がひどい」などと記者側に批判的な論調が多い。ライブドアのネットリサーチにも、「『口蹄疫』会見での知事に対するマスコミの質問は酷いと思う?」という質問が登場。86.8%が、「思う」に票を投じている。


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 愛媛県四国中央市の三島高書道部の実話をモデルにした映画「書道ガールズ!!わたしたちの甲子園」が15日、全国公開される。同高書道部員が開催中の仏・カンヌ国際映画祭で書道パフォーマンスを披露するほか、主演の成海璃子さんらが県庁を訪れるなど、公開に合わせたさまざまな活動が展開されている。

 渡仏するのは2年生部員6人。主演の成海さんらとともに、カンヌ・ザメンホフビーチの特設会場で縦4メートル、横6メートルの大きな紙に、日本語と仏語でメッセージを映画のシーンさながらに大書する。

 海外でのイベントは初めてで、参加が決まった先月下旬から練習を重ねてきた。部員の寺尾つむぎさん(16)は「2年生だけのパフォーマンスは初めてだし、海外でどんな反応されるのか不安もありますが、とても楽しみです」と真剣なまなざしで話していた。

 一方、県庁に加戸守行知事を表敬訪問したのは成海さんと猪股隆一監督ら。大きな筆で書を書くシーンを吹き替えなしで撮影した成海さんは「毎日筋肉痛になりながらやってました」と話していた。また、猪股監督は「町の人たちにスタッフと同じくらい協力して頂きありがたかった」と感謝していた。

 映画は、08年に同市で始まった「書道パフォーマンス甲子園」の実話を映像化。高校の書道部員が人前で字を書く大会を計画し、商店街の活性化を目指すストーリー。撮影には約700人の市民がエキストラで参加するなど、同市が全面的に協力した。【前田和美、栗田亨】

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 離婚工作を請け負った「別れさせ屋」の男が、離婚させた後に交際を続けた女性を殺害した事件をめぐり、被害者の五十畑里恵さん=当時(32)=の遺族が6日、男の所属していた東京都内の探偵会社や同社に依頼した元夫を相手に、約1700万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
 遺族の代理人によると、同社が桑原武元被告(31)=殺人罪などで懲役15年が確定=を通じて行った工作により、五十畑さんは離婚に追い込まれ、遺族も精神的苦痛を被った。
 桑原元被告は名前や職業を偽って五十畑さんに接近。離婚させた後も交際を続けたが、昨年4月に口論となって殺害した。
 東京地裁は今年3月、元被告の刑事裁判の判決で、「金目当てに工作に及ぶ者や、目的のためには手段を選ばず依頼する者が存在すること自体が遺憾」と非難した。 

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