「最強の2人」という映画。
四股麻痺の富豪と黒人の介護者の交流を描いたフランス映画である。この映画が大好きだという人は多い。
2年半前の抗がん剤治療中に後輩に勧められて観たが視聴後微妙な気持ちになったのだ。
それは私は障害者であるフィリップ側の立場に立って見てしまいた。その前で病院で歩けなくなり介助が必要だった経験もあった。
私は介助者のドリスの大富豪車椅子のフィリップに対するコミュニケーションが余りにも踏み込みすぎで好きになれなかったのだ。
治療の時に心配して連絡をくれた知人は沢山いた。だが中には身勝手なコミュニケーションをする人も残念ながらいて何人かとは絶交した。その知人とドリスが被ってしまったのだ。
今回の治療中に連絡をくれたフィンランドの友人がこの映画を勧めてくれてもう一回見てみる気になった。昨日見返して観て自分の見方が偏っていたのを感じた。
フィリップに通用したドリスのコミュニケーションはフィリップの感性とドリスの感性があり少しずつ積み上げて信頼関係があって成り立つものだ。人は自分に起こった個別の事例を一般化したがる。そういう間違いを自分が犯しているのに気がついた。
これを再見した時にamazonprimeにドキュメンタリー映画「最強の2人」というものがあるのに気がついた。

映画「最強の2人」は実話に基づいたストーリーでドキュメンタリーでは実話の主人公達や演じた俳優達の思い、監督達の狙いなどが描かれている。50分くらいのドキュメンタリーだったがこれはとても素晴らしかった。
映画では描かれていない実話や私が少し疑問にに思っていた事に対する答えがそこにあった。
このドキュメンタリーで輝いていたのは四股麻痺したフィリップの知性と強さだった。彼は実際は映画で描かれているような気難しい大富豪の障害者ではない。彼を世話する人達は皆障害者である彼に救われている。そんな気がした。
彼は言う「私はパラグライダーをしたりライバル会社を駆逐してきた。今はそれら全て出来なくなったどころか一歩も動く事が出来なくなったが逆に色々な事がみえるようになった。」
彼の介護人(実話はアブデルという名前)も彼は全く履歴書を見ずに決めたそうだ。
彼は彼に必要なものを直感で選ぶ事が出来る。アブデルは彼に正確に見出されて選ばれたのだ。フィリップの知性や強さは彼を世話している周辺の人達にとっても宝であり彼を中心に世界が回っている。映画の中ではフィリップの恐怖、不安とドリスの奔放さと優しさだけが強調されている。映画の中でフィリップの強さと知性を表現出来なかったのだろうか。それだけが残念に思う。
さてこの映画はもう一つハリウッドのリメイク版が存在する。The upsideという洋題で舞台はアメリカになる。

この映画も上記ニ作を見てから観たが駄作だった。何故ハリウッドはこの作品をリメイクしようとしたのだろうか。
脚本は原作が2人の障害者(1人は身体的障害者、1人は社会的障害者)の友情にフォーカスされていたがハリウッドリメイクは2人の障害者が如何に復活するかに焦点があてられていたように思う。だから2人のやり取りが表面的でガサツなように思え前作の良さが消えていた。
配役も良くなかった。
フィリップは原作の俳優の貴族感が消え
デルはユーモアや繊細さが消えガサツなだけで
秘書はただの鉄仮面だった(ニコール・キッドマン自体は好き)
原作とは違いフィリップは文通相手と出会うシーンがあるがこの女優さんは「Good wife」の鉄仮面弁護士だった。「Good wife」は傑作だがこの場面でこの女優さんはないやろーーと思った。




