ボブ・ディランの全曲訳詞に挑戦中、「ディラン日記」のコーナー。ブートレッグ・シリーズの第3集を進めております。81年発表の"Shot of Love"録音時のアウトテイクも今回が最後となります。今回は長い歌詞で、歌詞も脈絡がないため手こずりました。ディランらしい歌詞と言えましょう。

 

Angelina
"The Bootleg Series Volumes 1-3 (Rare & Unreleased) 1961-1991"(1991)収録

ブートレッグ・シリーズ第2集に、"Farewell, Angelina"(D102-05)という曲がありましたが、今回もアンジェリーナが登場します。同じアンジェリーナなのか、また誰のことを指しているのか、ディランの専門家でも解りかねるそうです。各ヴァースのラストがアンジェリーナと韻を踏む言葉で終わっているところも注意が必要ですね。

曲の方は、ディランがピアノを弾きながら歌う美しい曲。女性のバックコーラスがフィーチャーされ、ゴスペルのような神々しい雰囲気を感じます。

まずはディランのHPから原詩を確認下さい。
https://www.bobdylan.com/songs/angelina/
 

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チャンスを手に入れるのが いつもオレの性質だった
左手が進む間 右手は後ろに引く
流れが強く 猿がアコーディオンの音色に合わせて踊る場所

オレの黄色い髪の中 血が乾く 岸から岸へと渡る間に
おまえのドアへオレを引っぱるものが 何なのかオレは知ってる
だがそれが何であれ あんたが前にオレに会ってると思わせる
アンジェリーナ

オー アンジェリーナ オー アンジェリーナ

ヤツの目は蛇が誇らしげに見える2つの切れ長だった
人混みの中を歩くヤツの顔は どんな画家でも書きたくなる顔だった
恵まれた女性の体とハイエナの頭で神を崇拝する

もう一方の頬を差し出すのに、おまえの許しが必要か?
おまえがオレの心を読めるなら オレはなぜ話さなければならないのか?
いや おまえが探してる男について オレは何にも聞いてない
アンジェリーナ

オー アンジェリーナ オー アンジェリーナ

星条旗が爆発する巨人の谷で
桃は甘く ミルクとハチミツが流れる
オレは指示に従っただけ 裁判官が召喚状でオレをその道に送った時

おまえが存在しなくなったら 誰がおまえを責めるんだ
おまえを愛そうと最善を尽くしたが オレはこのゲームができない
おまえの親友とオレの最悪の敵は同じヤツ
アンジェリーナ

オー アンジェリーナ オー アンジェリーナ

戦闘地域を黒のベンツが走ってる
おまえの召使いは半分死んでて おまえは骨まで削り取られてる
教えてくれ のっぽさん どこで倒されたいんだ
たぶん エルサレムか アルゼンチンか

彼女は 3歳の時 母親から奪われた
今 彼女の復讐は満たされ 持ち物はみな売っぱらわれた
ヤツは神の天使に囲まれて 彼女は目隠しをされている
そしておまえもそう アンジェリーナ

オー アンジェリーナ オー アンジェリーナ

男たちの集団が行進してるのが見える 力づくで天国を奪おうとしてる
見知らぬライダーが見える 淡白い馬が見える
神の真実のもと 何が欲しいが言ってくれ おまえはもちろん手に入れる
土俵に足を踏み入れるだけ

螺旋階段を上って 退却の道を切り拓く
煙の木を通り過ぎ 4つの顔を持つ天使を過ぎる
神に慈悲を乞い 不浄な場所ですすり泣く
アンジェリーナ

オー アンジェリーナ オー アンジェリーナ
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それでは曲をお聴き下さい。