だいぶ間が空いてしまいましたが、「ピックアップ・アーティスト」ボブ・マーリー編、第3弾をお送りいたします。前回紹介した76年4月発表の"Rastaman Vibration"の後、ようやく映画「One Love」のストーリーにつながって行きます。

同年12月に銃撃を受けた後、77年1月にロンドンに移住し、アルバムの録音に入ります。映画でもその録音の様子が描かれていたアルバムが同年6月に発表されました。彼らの名声をさらに押し上げた作品となりました。

 

Exodus / Bob Marley And The Wailers
77年発表

個人的には、リアルタイムで友人が買ったアルバムを聴いており、彼らのアルバムの中でも最も聴いた作品ですので、個人的には彼らの代表作と思っている作品です。セールス的にも成功し、映画にもあったように、世界を席巻した感がありました。

アメリカのタイム誌では99年に「20世紀最高の音楽アルバム」に選ばれているようですし、シングル・カットされた曲以外でも、マーリーの代表作と評価されるナンバーが何曲も収録されています。

【収録曲】
 ① Natural Mystic
 ② So Much Things to Say
 ③ Guiltiness
 ④ The Heathen
 ⑤ Exodus

 ⑥ Jamming
 ⑦ Waiting in Vain
 ⑧ Turn Your Lights Down Line
 ⑨ Three Little Birds
 ⑩ One Love / People Get Ready


この中から3曲ほどご紹介しましょう。まずはA面ラストに収録されたアルバム・タイトル曲、⑤"Exodus"。モーゼの出エジプトになぞらえて、ロンドンへ避難した自らのことを歌ったものと推察されます。「脱出、ジャー(神)の民の移動」と繰り返される歌詞が印象的。抑制された情念を感じる曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=43cfPgZ8cU8
 

B面トップに収録された⑥"Jamming"はアルバムから3枚目のシングル・カットとなり、UKソングル・チャートではトップ10入りのヒットとなりました。私の当時の記憶でも、この曲が一番ラジオでかかっていたように思います。ノリの良いポップなナンバー。


アルバム・ラスト・ナンバーの⑩"One Love / People Get Ready"は、マーリーの死後、84年にシングル・カットされ、彼らの代表曲となったナンバー。65年のアルバムに収録されていましたが、ここで再録となりました。ジ・インプレッションズの"People Get Ready"のコード進行とメロディを引用していることから、ここでは上記のクレジットとなりました。
https://www.youtube.com/watch?v=IN0KkGeEURw


さらに、上記作品と同時期に録音された曲を集めて、ジャマイカへの帰国とほぼ同時期となる78年3月にニュー・アルバムを発表しました。

 

Kaya / Bob Marley And The Wailers
78年発表

内容的には少しメッセージ色が薄れた感もあったのか、前作に比べ評価は低いようですが、UKアルバム・チャートでは彼らにとって最高位となる4位まで上がったようです。シングル・カットされた曲もUKでトップ10ヒットとなっています。

【収録曲】
 ① Easy Skanking
 ② Kaya
 ③ Is This Love
 ④ Sun Is Shining
 ⑤ Satisfy My Soul

 ⑥ She's Gone
 ⑦ Misty Morning
 ⑧ Crisis
 ⑨ Running Away
 ⑩ Time Will Tell


ここからも3曲ご紹介しましょう。まずは、最初のシングル・カットとなった③"Is This Love"。これも彼らの代表曲の1つと言えましょう。リラックスした感のあるポップなメロディが印象的です。


アルバムから2枚目のシングル・カットとなった⑤"Satisfy My Soul"。「魂を満足させるんだ」というマーリーらしいメッセージが込められた曲で、淡々と展開されるレゲエのリズムが心地よいナンバーです。
https://www.youtube.com/watch?v=5O1WKodlCIA

B面2曲目に収録された⑦"Misty Morning"では、マーリーの心の叫びのようなヴォーカルが堪能できます。ホーンの使い方も絶妙です。                
https://www.youtube.com/watch?v=OBBlIfUH9bY


今回はロンドン録音の2枚をピックアップいたしました。この後、ジャマイカに帰国し、更なる伝説が綴られます。