今回から72年に入ります。既に前年後半から、ザ・ローリング・ストーンズのメンバーは新作のレコーディングに取りかかっていましたが、年を跨いでも、まだ完成には至らず。その合間をぬって、前回同様、デッカ・レコードの荒稼ぎはまだまだ続きます。

UKL-15 Milestones

 

前回ご紹介したUSで前年12月に発表された2枚組LPのコンピレーション、"Hot Rocks"が好調なセールスを記録したからかどうかわかりませんが、この年2月には、UKでも、LP1枚のコンピレーション・アルバムが発表されています。

"Hot Rocks"に比べると、ヒット曲・代表曲を網羅したという感じではありませんで、地味めの曲もいくらか収録されており、なんかUKの意地を感じるような選曲です。

【収録曲】
 ① (I Can't Get No) Satisfaction
 ② She's a Rainbow
 ③ Under My Thumb
 ④ I Just Want to Make Love to You
 ⑤ Yesterday's Paper
 ⑥ I Wanna Be Your Man

 ⑦ Time Is on My Side
 ⑧ Get Off of MY Cloud
 ⑨ Not Fade Away
 ⑩ Out of Time
 ⑪ She Said Yeah
 ⑫ Stray Cat Blues


シングル・ヒットやライヴ定番曲に混じって、デビュー・アルバム収録の④、ほとんど忘れ去られている"Between the Buttons"収録の⑤、UK第2弾シングルでレノン=マッカートニー作の⑥をA面に収録。B面には"Aftermath"収録の名曲⑩、UK盤"Out of Our Heads"のオープニング・ナンバーの⑪、"Beggars Banquet"収録の⑫を収録。個人的には好きなチューンではあるのですが、1枚ベストに入れるのはいかがかと思われる選曲です。

それでも恒例ですので、この中から1曲聴いてみましょう。ライヴ・アルバム"Get Yer Ya-Ya's Out!"にも収録された⑫"Stray Cat Blues"です。

 


UKS-17, USS-22 

Tumbling Dice / Sweet Black Angel


そして4月になると、遂に新作からの先行シングルが発表されました。今やライヴの定番となっている"Tubling Dice"。この時期のストーンズらしいミドル・テンポでねっとりと絡んで来るナンバー。全米No.1を獲得した前のシングル"Brown Sugar"ほどのヒットとはなりませんでしたが、英米でトップ10ヒットとなっています。リハーサルっぽい演奏ですが当時の映像です。


B面も来たるアルバムに収録された"Balck Sweet Angel"。アコースティックなサウンドで奏でるカントリー・ブルーズ調のナンバーで、ストーンズには珍しく政治的メッセージが込められてます。ジョン・レノンなども参加した、左翼活動家アンジェラ・デイヴィスが無実の罪で投獄されていることへの抗議運動の一環なのだそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=Cwekn8dDxCo

このシングルにより、新作への期待が高まるばかりであっただろうと想像します。