4回にわたってお送りして来たトラフィックの特集も、今回が最終回となります。73年から94年の再結成アルバムまで、一気に3枚ご紹介したいと思います。

 

Shoot Out at the Fantasy Factory
73年発表

まずは73年に発表されたアルバム。前回と同様変形6角形ジャケットでした。オリジナル・メンバー3人とリーバップ・クワク・バーが引き続き参加。さらにこのアルバムの目玉として、マッスルショールズ・サウンド・スタジオのデヴィッド・フッド(ベース)とロジャー・ホーキンス(ドラムス)が正式メンバーとしてクレジットされました。

数々の名作を生み出したスタジオからのリズム・セクションを招いての作品ということで、彼らの作品の中でも最もタイトなサウンドが楽しめる内容となりました。

【収録曲】
 ① Shoot Out at the Fantsy Factory
 ② Roll Right Stones

 ③ Evening Blue
 ④ Tragic Magic
 ⑤ (Sometimes I Feel So) Uninspired


オープニングにして、アルバム・タイトル・ナンバーの①"Shoot Out at the Fantasy Factory"はファンキーなリズムに乗せたグルーヴ感溢れるナンバー。スティーヴ・ウィンウッドのヴォーカルの黒っぽさが、より磨きがかかった感じです。


もう1曲、アルバムのラストナンバー、⑤"(Sometimes I Feel So) Unispired"をお聴き下さい。7分を超えるナンバーで、バラード調の前半部からどんどん盛り上がってくる構成。ウィンウッドの泣きのギターが堪能できます。
https://www.youtube.com/watch?v=LGupRDZEG1w

上記のメンバーに、同スタジオのバリー・ベケット(キーボード)を加えてツアーに出て、そのツアーの音源を収録したLP2枚組のライヴ・アルバム、"On the Road"も同年10月にリリースされています。

 


When the Eagle Flies
74年発表

続いて74年に発表されたアルバムでは、オリジナル・メンバー3人に、ベースにジャマイカ人のロスコー・ジーを迎えて新たな作品を発表。日本では、ちょうど、アイランド・レコードが東芝EMIからの配給に切り替わったタイミングで、その第1弾としてスパークやイーノのアルバムと併せて音楽雑誌の広告でプッシュされていたことを思い出します。

前作に比べるとややこじんまりとした感じはしますが、ウィンウッドの音楽性の高さを感じる作品であることは変わりません。安定感を感じます。

【収録曲】
 ① Something New
 ② Dream Gerrard
 ③ Graveyard People

 ④ Walking in the Wind
 ⑤ Memories of a Rock n' Rolla
 ⑥ Love
 ⑦ When the Eagle Flies


まずはオープニングの①"Something New"をお聴き下さい。この曲もウィンウッド節が堪能できます。ギターもピアノも駆使しながらのパフォーマンスです。
https://www.youtube.com/watch?v=7tNnxiZ0eaY

B面トップに収録された④"Walking in the Wind"は、このアルバムで最もSpotifyで再生されているナンバー。やや抑制気味の演奏ながら、ウィンウッドのソングライティング力の巧さを感じる曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=63GDyRr5CBM

このアルバム発表後、バンドは解散。その後、ウィンウッドは77年からソロ活動を開始。80年代ではセールス的に成功を収め、よりメジャーな存在となりました。一方、クリス・ウッドは83年に39歳で逝去するという不幸もありました。



Far from Home
94年発表

そして、94年、ウィンウッドとジム・キャパルディのコラボ作品として録音が始まった作品が、トラフィックの再結成アルバムとして実を結びました。ほとんどの楽器を2人で演奏するという作品。当然ながら、ウィンウッドのソロ作品かと思うような内容でしたが、盟友2人による作品、歴史的意義があると思います。

【収録曲】
 ① Riding High
 ② Here Comes a Man
 ③ Far from Home
 ④ Nowhere Is Their Freedom
 ⑤ Holy Ground
 ⑥ Some Kinda Woman
 ⑦ Every Night, Every Day
 ⑧ This Train Won't Stop
 ⑨ State oif Grace
 ⑩ Mozanbique


アルバムからの最初のシングル・カットとなった②"Here Comes the Man"。なんとTVショー出演時の映像がありました。フルートの音色が聴こえるとトラフィックらしさを感じますね。アルバムではウィンウッドが吹いているようです。
https://www.youtube.com/watch?v=4FJV1iVgzqw

彼らはアルバム発表後、ウッドストック25周年を記念したウッドストック94に出演。このアルバムのラスト・ナンバー、⑩"Mozambique"を演奏した映像がありました。躍動感溢れるパフォーマンスです。



その後、04年にロックの殿堂入りを果たしますが、05年にキャパルディが60歳で逝去。ウィンウッドは08年以来、ソロ・アルバムを発表しておりませんが、ライヴ活動は続けているようです。