ボブ・ディランの全曲訳詞に挑戦中、「ディラン日記」のコーナー。ブートレッグ・シリーズの第2集を進めておりますが、今回から"Bringing It All Back Home"のアウトテイクに入って行きます。今回は文法的には難しくないのですが、抽象的な歌詞のため内容は難解でした(というか理解できませんでした)。

 

Farewell, Angelina
"The Bootleg Series Volumes 1-3 (Rare & Unreleased) 1961-1991"(1991)収録

アンジェリーナという女性に別れを告げているのでしょうが、描かれる情景はシュールで抽象的な表現が多く、まさにディランの詩人としての表現力の豊かさを感じるものでした。テーマは自分の居場所はここになく、どこか別のところへ行かなければと感じている男の心情を表したものであると思います。

これをディランは、アコースティック・ギター一本で、ゆったりと歌っています。アルバム用に1度だけ録音したのですが、結局ジョーン・バエズにこの歌を贈り、バエズの65年の同名アルバムに収録されています。

まずは原詩をディランのHPで確認下さい。なぜか第6ヴァースが抜けていますし、その他の歌詞も一部、実際に歌っているものと異なっています。たぶんバエズのヴァージョンが記載されてるものと思います。
https://www.bobdylan.com/songs/farewell-angelina/

以下は、抜けている第6ヴァースです。
The camouflaged parrot he flutters from fear
When something he doesn't know about suddenly appears
What cannot be limited perfect must die
Farwell Angelina
The sky is flooding over
And I must go where it is dry

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さよならアンジェリーナ
王冠の鐘が山賊に盗まれている
トライアングルがうずく音についていかないと
そしてトラッペツトがゆっくり吹かれる
さよならアンジェリーナ
空が火につつまれ オレは行かなければ

怒る必要はない 非難する必要はない
何も明らかにならない 何事もいつも通り
海の端っこに 空っぽのテーブルが立っている
さよならアンジェリーナ
空が震えている オレは発たなければ

ジャックとクイーンは中庭を見捨てた
52人のジプシーが列をなして衛兵の前を通り過ぎる
かつて2とエースが暴走した場所で
さよならアンジェリーナ
空が折れている またすぐ会おう

太陽の下でじっと座っている寄り目の海賊を見な
切断されたショットガンでブリキ缶を撃っている
近所のヤツらが手を叩き 一発ごとに歓声をあげる
さよならアンジェリーナ
空の色が変わっていく オレはすぐに発たなければ

キングコングと妖精が屋根の上で踊っている
ヴァレンティノ・タイプのタンゴ
化粧士の手が死人の目を閉じる間
誰にも迷惑をかけないように
さよならアンジェリーナ
空が困っている オレは行かなければ

偽装されたオウムが 恐れで羽ばたいている
知らなかった何かが 突然現れた時
完全に制限できないものは 死ななければならない
さよならアンジェリーナ
空が水びたしになっている オレは渇いているところへ行かなければ

マシンガンが轟いている 操り人形が岩を持ち上げる
悪魔が時限爆弾を 時計の針に釘づける
好きな名前で呼んでくれ オレは否定しない
さよならアンジェリーナ
空が噴火している オレは空が静かなところへ行かなければ
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それでは曲をお聴き下さい。