久々の裏方にスポットを当てるこのコーナー。これまでの勉強不足を思い知らされた、ユニットを本日は取り上げたいと思います。出張時に訪ねた新橋のロック・バーのマスターに教えてもらったザ・レッキング・クルーという、60年代に、USはカリフォルニアで活動していたスタジオ・ミュージシャン集団を取り上げます。



モンキーズが自分たちで演奏していなかったことや、ザ・ビーチ・ボーイズの名作"Pet Sounds"は、他のメンバーのツアー中に、ブライアン・ウィルソインがスタジオ・ミュージシャンを使って造り上げたものだということは知っていたのですが、それらサウンドを支えたのが、ほとんど同じミュージシャン達であったことを、この集団の存在を知って知りました。それどころか、ザ・バーズの"Mr. Tambourine Man"では、ロジャー・マッギン以外のメンバーは録音に参加していないとか、この音楽集団が、フィル・スペクターを始めとした、USロック・シーンのあらゆる場面で関わっていることを知りました。

当時、彼らは、引く手あまたで、たいへん忙しかったようですが、あえて特定のジャンルに捕われることを嫌い、ほとんどの作品でクレジットされていなかったようです。そんなわけで、彼らの中で、ドラムスのハル・ブレインの名前はなんとなく聞いたことはありましたが、ギターのトミー・テデスコ、ベースのキャロル・ケイジョー・オズボーンといった初めて聞く名前も多かったです。また、グレン・キャンベルレオン・ラッセルドクター・ジョンもソロ活動の前には、こちらに名を連ねていたそうです。

14年に彼らのことを取り上げた映画が作られ、15年には彼らが関わった曲を集めた4枚組CDがリリースされており、今回、その双方をゲットいたした次第です。

まだまだ深掘りできそうな素材ではありますが、本日は、この4枚組CDに収録された有名曲をご紹介して、彼らの凄さを、まずは感じ取っていただければと思います。

【フィル・スペクター関連】
 ・To Know Him Is to Love Him / The Teddy Bears (1958)
 ・Be My Baby / The Ronettes (1963)
 ・Lonely Surfer / Jack Nitzsche (1963)

【ザ・ビーチ・ボーイズ】
 ・God Only Knows / The Beach Boys (1966)   
 ・Good Vibration / The Beach Boys (1966)

【グループ】
 ・Mr. Tambourine Man / The Byrds (1965)
 ・California Dreamin' / The Mamas & The Papas (1965)
 ・Windy / The Association (1967)
 ・Valleri / The Monkees (1968)

【シンガー】
 ・La Bamba / Richie Valens (1958)
 ・Another Saturday Night / Sam Cooke (1963)
 ・Eve of Destruction / Barry McGuire (1965)
 ・Everybody's Talikin' / Harry Nilsson (1968)
 ・Gypsies, Tramps And Thieves / Cher (1971)

ということで、これだけの有名アーティストの有名曲に関わっていることで、改めて驚かされます。

そして、このコンピレーションに収録されていませんでしたが、最後に、ザ・フィフス・ディメンション"Aquarius / Let the Sunshine In"をお聴き下さい。私、以前からのこの曲の、特に後半の"Let the Sunshin In"のベース・ラインがめちゃくちゃ凄ぇなぁって思っていたのですが、映画の方で、このラインをオズボーンを弾いてるのを見て、やっぱりそうだったのかと思いました。オズボーンは、モータウンのジェームズ・ジェマーソンと並ぶ、US音楽シーンの双璧を成すベーシストであると思います。