月1ペースでチンタラと進めております「20世紀のロック・アルバム:シーズン2」。今月も半ばを過ぎましたので、ここらで1枚ピックアップしたいと思います。今回は、アメリカン・ロックの歴史に伝説的な名前を残す、バッファロー・スプリング・フィールドの2ndアルバムをピックアップいたしました。


Buffalo Springfield Again
67年発表

66年に発表されたデビュー・アルバムからシングル・カットされた"For What It's Worth"がトップ10ヒットとなった彼らでしたが、この2ndアルバムは、アルバム・チャートの44位どまり。シングル・カットされた3枚のシングルもこれまた最高位が44位と、当時はセールス的には芳しくなかった作品でした。

しかしながら、その後、このバンドに在籍した両巨頭、スティーヴン・スティルスニール・ヤングが、クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング(以下、CSNY)として70年代初頭に絶大な人気を得たことに加え、リッチー・フューレイやジム・メッシーナも在籍していたことから、ロック史上、重要なバンドとして評価されるようになりました。

それでも70年代中頃からロックを聴き始めた私には、このアルバムが聴くべきアルバムとして紹介される音楽雑誌等の情報に触れることはありませんでした。しかし、CSNYやザ・バンドのサウンドに触れていくうちに、このアルバムに巡り会い、なんでこのアルバムが名盤扱いされていないのか不思議に思うくらい、素晴らしいとおもいました。

CSNYのアルバムも素晴らしいのですが、こちらはそれ以上。ある意味、アメリカン・ロックの"Spt.Pepper"ではないかと思うくらい、感激した作品でした。録音技術的には"Sgt.Pepper"には及びませんが、そんなことを感じさせないくらい、勢いと閃きを感じた作品でした。


① Mr. Soul
オープニングは、ヤングにとってオールタイム的にも代表曲と言うべきナンバー。高揚感溢れるロック・ナンバーです。


② A Child's Claim to Fame
③ Everdays
④ Expecting to Fly

アコースティックなサウンドによるカントリー調のナンバー②は、フューレイの作。牧歌的な曲調で①の緊張感を和らげます。スティルス作の③はジャジーな雰囲気の洒落た雰囲気の曲。冒頭3曲の振れ幅が凄いです。そして再びヤングによる④。後のプログレッシヴ・ロックにも通ずる、サイケデリックながら、メロディがとっても美しい曲です。このアルバムにサポート参加しているジャック・ニッチェの貢献も大きいと思われます。
https://www.youtube.com/watch?v=s8EUL-O3hRA

⑤ Bluebird
A面ラストはスティスル作のポップなナンバー。アルバムから最初のシングル・カットとなりました。
https://www.youtube.com/watch?v=yKHY8MXgiz0

⑥ Hung Upside Down
⑦ Sad Memory
⑧ Good Time Boy

⑥もスティルスの作品で、この時代ならでは、サイケな雰囲気を感じる曲です。⑦⑧とフューレイ作が続きます。⑦は弾き語りによるとっても静かな落ち着いた曲ですが、⑧は一転して、R&Bのようなビートの効いた曲。リード・ヴォーカルはドラムスのデューイ・マーティン。アルバムの中でも、最も異色なナンバー。
https://www.youtube.com/watch?v=G-gwytS-9OQ

⑨ Rock & Roll Woman
⑩ Broken Arrow

スティルス作の⑨は2枚目のシングル・カットとなったナンバー。曲の雰囲気は、CSNそしてCSNYへとつながっていく萌芽を感じます。そしてラストは、ヤング作の⑩。いきなり①のライヴ・ヴァージョンが聞こえてきます。ヴァース間にはいろいろサウンド・コラージュを挿入しており、かなり実験的意欲にあふれた曲。しかしながら、曲そのものは、とっても良くできた曲。こちらもヤングの代表曲の1つであると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=qmiuakIKQfw


3人のソングライターがほぼ公平な分量で曲を書いており、しかもそれぞれが個性を十二分に発揮しており、そのせめぎ合いが、アルバムになんとも言えない緊張感を与えていると思います。個人的には、60年代ロックを代表する1枚であると思います。