ザ・ローリング・ストーンズのレコード・リリース順や英米盤の違いを、今一度しっかり確認していこうと進めております「ディスカヴァー・ストーンズ」のコーナー。今回は66年の秋から暮れにかけて、彼らが発表した作品をチェックしていきたいと思います。宿敵ビートルズは、ライヴ活動を中止し、長年の疲れを癒やすべく、メンバーがそれぞれ好きなことをして過ごしていた時期にあたります。

(貼り付けをしていない新出曲は、曲名をクリックすれば動画にアクセスできます。)

UKS-11, USS-13 

Have You Seen Your Mother, Baby, Standing in the Shadow / Who's Driving Your Plane?

 


まずは66年9月に、英米同時に発表されたニュー・シングル。英米同日のシングル・リリースは、これが初めてですし、B面も同じ曲というのは、この時期にしては珍しいケースでした。

サウンドも、ホーンを導入したり、キース・リチャードがピアノを弾くなど、それまでとは、やや異なるテイストを持った曲。そんなわけで、英米ともトップ10にはなったものの、チャートの首位を獲るほどの爆発的なヒットにはなりませんでした。

 


さて、B面の"Who's Driving Your Plane?"は、まさにレア・トラックで、私もほとんど聴いたことのない曲でした。ミック・ジャガー=キース・リチャード作のオリジナル・ナンバーですが、ブルーズ・フィーリングに溢れるナンバーです。

https://www.youtube.com/watch?v=WAClRusgQtw

 


UKL-05 Big Hits (High Tide And Green Grass)


さて、ここでまたまたややこしいアルバムの登場。66年3月にUSで発表されたベスト・アルバムと同タイトルのベスト・アルバムがUKで11月に発表されるのですが、ジャケットも違うし、収録曲や曲順も異なっていました。

① Have You Seen Your Mother, Baby, Standing in the Shadow
② Paint It Black
③ It's All Over Now
④ The Last Time
⑤ Heart of Stone
⑥ Not Fade Away
⑦ Come On


⑧ (I Can't Get No) Satisfaction
⑨ Get Off My Cloud
⑩ As Tears Go By
⑪ 19the Nervous Breakdown
⑫ Lady Jane
⑬ Time Is on My Side
⑭ Little Red Rooster


US盤に収録されていたのは、③④⑤⑥⑧⑨⑩⑪⑬の9曲。収録されていなかったのは、US盤発表後にリリースされたシングル①②の2曲に加え、⑦⑫⑭の3曲。US盤に収録され、こちらに収録されなかったのは、"Tell Me"、"Good Times, Bad Times"、"Play with Fire"の3曲でした。

やはりそれぞれの国でシングルになっていたかどうかで編集を変えているようです。収録曲もUK盤14曲、US盤12曲で、当時の英米でのアルバムに対する考え方の違いがあったようですね。

USL-08 God Live If You Want It! 


続いてのややこしいアルバムは彼らのライヴ・アルバムです。UKでは65年11月に発表されていたライヴ録音を収録したEPと、同じタイトルのライヴ・アルバムが66年12月に発表されました。

① Under My Thumb
② Get Off My Cloud
③ Lady Jane
④ Not Fade Away

I've Been Loving You Too Long
Fortune Teller


⑦ The Last Time
⑧ 19th Nervous Breakdown
⑨ Time Is on mY Side
⑩ I'm Alright
⑪ Have You Seen Your Mother, Baby, Standing in the Shadow
⑫ (I Can't Get No) Satisfaction 


UK盤ではカヴァー曲中心に5曲を収録していましたが、こちらではジャガー=リチャードのナンバーを中心に12曲が収録されており、ボ・ディドリーの⑩以外は重複がありませんので、別物と言っていいでしょう。とにかく歓声が大き過ぎて、ライヴ盤としてのクォリティを満足させるものではありませんでした。

初登場曲としては、いずれもカヴァーの⑤⑥。⑤は、オーティス・レディングの65年のシングル曲。⑥は62年にベニー・スペルマンが発表したシングル曲で、アラン・トゥーサンの作。


ベストもライヴも、ややこしいことになっており、このことが初期のストーンズのわかりにくさにつながっているのでしょうか。

それはさておき、ストーンズの音楽性も幅が広がり、ジャガーのヴォーカル力も格段に進歩していた時期であると思います。