突然の復活を果たしました「裏方稼業繁盛記」。今月も1つアップしたいと思います。今回は、表方稼業の方でも有名な、トッド・ラングレンをピックアップいたしました。



1948年6月、USはフィラデルフィアで生まれたラングレン。70年代から現在に至るまで、現役ミュージシャンとして活動を続けています。特に、70年代から80年代にかけては、ソロと並行して、ユートピアというバンド活動も行うなど、表方稼業もかなり精力的に進めておりました。

その一方で、エンジニアやプロデューサーとしても、70年代を象徴する作品に数多く関わっており、裏方としても70年代ロックの隆盛に大きく貢献してきた存在でした。その手法は、あまり自らの色を出さず、関わったアーティストの良さを引き出し、衝撃のデビュー作や、起死回生の一枚といった作品を産み出して来ました。そんな彼の裏方としての業績を追っていきたいと思います。


有名作の中で、最も最初に確認できるのは、ミキシングとレコーディング・エンジニアとして関わったこのアルバム。ザ・バンドの3rdアルバムで、無観客の劇場で録音に関わりました。
Stage Fright / The Band (1970)
まずはこのアルバムから、タイトル・ナンバーの"Stage Fright"をお聴き下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=NZMfZe7OFFk

その後、数々のアルバムをプロデュースしていきます。
Staight Up / Badfinger (1971)
New York Dolls (1973)
We're an American Band / Grand Funk (1973)
Shinin' On / Grand Funk (1974)
War Babies / Daryl Hall & John Oats (1974)
Bat out of Hell / Meat Loaf (1977)


70年代を代表するアルバムの目白押しです。ニューヨーク・ドールズの衝撃ジャケットのデビュー作もラングレンの手によるものでした。ホール&オーツの3rdアルバム、ミートローフの代表作にも関わっていたんですね。そして、若干低迷気味だったグランド・ファンクのプロデュースも、彼のプロデューサーとしての最も有名な仕事。グランド・ファンクのシグネチャー・ソングとなり、全米No.1も獲得したアルバム・タイトル・ナンバー、"We're Are an American Band"をお聴き下さい。


さらに、70年代後半になると、パンク、ニューウェイヴのアーティストとの仕事も増えてきます。
TRB Two / Tom Robinson Band (1979)
Wave / Patti Smith (1979)
Next Positon Please / Cheap Trick (1983)
Sky Larking / XTC (1986)


80年代の最も印象に残っているのが、XTCとの仕事でしょう。"Sky Larking"は、XTCのアルバムの中でも、個人的にはかなり上位に来るアルバムなのですが、アンディ・パートリッジとのソリが悪く、お互いに嫌な思いをして終わった仕事で、パートリッジは後に、このアルバムを再ミックスして発表しています。このアルバムから"Earn Enough for Us"をお聴き下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=QeDDQqO9kWo

この他、レピッシュ高野寛など、日本のアーティストも手がけているようです。


魔法使いは真実のスターであり、真実のプロデューサーでもありました。