「20世紀のロック・アルバム」シーズン2、18枚目のアルバムをご紹介させていただきます。本日は、70年代後半に現れた、ハード・ロックとプログレッシヴ・ロックを融合させ、さらにポップなテイストを織り交ぜて、新人ながら高い人気を誇ったグループ(?)、ボストンのデビュー・アルバムをピックアップいたしました。



Boston

76年発表

マサチューセッツ工科大学出身の秀才で、ポラロイド社に就職していたトム・ショルツが、1人で多重録音により制作したデモ・テープが、CBSレコードに認められ、このアルバムの制作が始まりました。

正式なレコーディングにおいてもショルツ1人の演奏によるものだったそうで、ヴォーカルのみ、オーディションを経て参加したブラッド・デルプによるものだったようです。他のメンバーはツアー用に集められた人達。アルバム名義はボストンとなっていますが、そういった意味では、このデビュー・アルバムはシュルツの個人ユニットによる作品と言っていいでしょう。

今聴くと、ハード・ポップって感じのサウンドですが、アルバム・ジャケットも相まって、スペイシーな雰囲気満載で、プログレ要素も感じる作品で、発売当時は、何かとっても新しいサウンドが現れたってな感じでした。とにかく録音技術のおかげが、とっても音の良いアルバムだなという印象が強かったです。セールス的にも大成功。全世界で2500万枚を売り上げたようです。


① More Than a Feeling
オープニングの①は、シングル・カットもされた、このアルバム一番のナンバー。新時代の到来を告げるかのような、突き抜けたスペイシーで硬質なサウンドが、大きく注目されました。メロディ、サウンド、曲構成、間奏のギター・ソロ、コーラス、どれをとっても極上のもので、完璧な曲というのは、こういう曲を言うのだなと、当時、本当に関心したものでした。USチャート、5位まで上がったようです。

 


② Peace of My Mind
①以外は、割と普通のノリの良いロックって感じなのですが、その中でもこれはメロディもノリも抜群の曲です。ハードでドライヴ感もあるナンバーです。
https://www.youtube.com/watch?v=Hr3JMA9h4pY

③ Foreplay/Long Time
④ Rock And Roll Band

プログレ風のインストゥルメンタルから、典型的なアメリカン・ロック風のナンバーへとつないでいく③は、このバンドの間口の広さを感じさせます。④からB面に入ります。ドライヴ感満載のロックン・ロール・ナンバーで、コーラスも完璧ですが、こらはデルプの多重録音によるものだそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=Uc78RnDRQ_4

⑤ Smokin'
ブギー・ナンバーの⑤は、これまた典型的なアメリカン・ロック。この曲のみ、デルプがシュルツと共作しています。
https://www.youtube.com/watch?v=5GzMx9CnhVk

⑥ Hitch a Ride
⑦ Something about You

冒頭、アコースティック・ギターをバックにし、サビに入るところでバンドが入ってくる⑥は、ウェスト・コースト・サウンドの感触があります。ハード・ポップ調の⑦では、ショルツのギターが全編で唸っています。メロディもキャッチーです。
https://www.youtube.com/watch?v=KqRT34Fa-bI

⑧ Let Me Take You Home Tonight
ラストの⑧では、アコースティック・ギターをフィーチャーしたカントリー・テイストを感じさせ、アルバムは幕を閉じます。


アルバム通しで聴くと、結構、ベタなアメリカン・ロックって感じなのですが、このアルバム・ジャケットや、そのサウンドで、何かとっても新しいロックが聴けたという、強い印象を持ったアルバムでした。