14年に立ち上げた「裏方稼業繁盛記」のコーナーですが、ジョージ・マーティンとヒプノシスを取り上げたきり、ほぼ8年に亘り休眠状態になっておりました。当時、第3回目と考えていた人が、先日ご紹介した「マッカートニー3,2,1」で聞き手を務めていたことから、久しぶりにアップしたいと思います。3人目の裏方はリック・ルービンです。


File3:Rick Rubin

1963年3月10日生まれ(58歳)
1984年 デフ・ジャム・レコード設立
1988年 デフ・アメリカンを立ち上げ
2007年 コロムビア・レコードの共同社長に就任(2012年辞任)
グラミー賞受賞作品多数


当初は、ラップ、ヒップホップのアーティストのプロデュースが多かったのですが、ミクスチャー系のロック・アーティストを手がけたことから、徐々に、そのフィールドを広げていき、96年に発表されたジョニー・キャッシュ"Unchained"で、グラミー賞の最優勝カントリー・アルバム賞を獲得。07にはディキシー・チックス"Taking the Long Way"で同賞の最優秀アルバム賞、"Not Ready to Make Nice"で最優秀レコード賞といった主要部門賞にも輝きました。同年と09年には、最優秀プロデューサー賞も獲得しています。

サウンドやアレンジには徹底的にこだわる一方で、アーティストに対しては、寛大な姿勢で接し、意識的に作るのではなく、自然な形で出来上がってくるのを待つといった手法でプロデュースにあたっているとの評価だそうです。そんなわけで、常にスタジオに一緒にいるといった感じではないようです。多くのアーティストから支持されてはいますが、中には、U2やミューズのように、制作の途中で袂を分かったケースもあるようです。

そんな彼が関わった作品をいくつかご紹介して参ります。

Licence to Ill / The Beastie Boys (1986)
ロックとラップを融合させた、ザ・ビースティ・ボーイズの衝撃のデビュー・アルバム。今や歴史的な作品として評価されています。彼らにとっても、ルービンにとっても出生作となった1枚。"Fight for Your Right"をお聴き下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=eBShN8qT4lk

"Walk This Way" / Run-DMC featuring Aerosmith (1986)
これも初期のルービンのグッドジョブ。エアロスミスの代表曲を、ヒップホップ・グループのランDMCがカヴァーし、なんと本家とフィーチャリングさせるという企画。PVでは、スティーヴン・タイラーとジョー・ペリーも出演。低迷していたエアロスミスの復活のきっかけともなりました。
https://www.youtube.com/watch?v=4B_UYYPb-Gk

Blood Sugar Sex Magik / Red Hot Chili Peppers (1991)
そしてなんと言ってもルビーンと言えば、レッド・ホット・チリ・ペッパーズとのコラボでしょう。91年のこのアルバムで初めて彼らのアルバムを手がけ、11年の"I'm with You"まで6枚のアルバムを連続プロデュースしています。このアルバムから"Suck My Kiss"を聴いてみましょう。


Make Believe / Weezer (2005)
00年代に入ると、その守備範囲もどんどん拡がりを見せ、前述のディキシー・チックスにも関わったりしていましたが、個人的にはウィーザーをプロデュースしたことが、一番印象に残っています。05年のこのアルバムと続く08年の通称"Red Album"の2枚を続けてプロデュースしています。"Beverly Hills"をお聴き下さい、
https://www.youtube.com/watch?v=HL_WvOly7mY

21 / Adele (2011)
ラストにご紹介するのは、UKの女性シンガー、アデルの2ndアルバムです。このアルバムにも彼、関わっていたんですね。アルバム11曲中4曲のプロデュースを担当しているようです。こちらもグラミー賞の最優秀アルバム賞を獲得しています。"Don't You Remember"をお聴き下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=Nq6dJ1OKRNQ

この他にも、幅広いジャンルのアーティストの作品を手がけています。ウィキペディアですが、こちらで関わった作品のリストを確認できます。80年代以降の音楽シーンに絶大な影響を与えて来た人物であることを改めて感じさせます。
https://en.wikipedia.org/wiki/Rick_Rubin_production_discography