今年もこの記事を書く時期となりました。今年は、久々の帰省を考えているため、例年より早く掲載することになります。新型コロナウィルスも変異を繰り返し、なかなか以前の状態には戻りませんが、それでもアーティストは創作活動を続けてくれています。

ただ、個人的には7月に青森の方に転居したため、新宿のタワーレコードでの、未知の音源探しができなくなり、新譜購入はさらに昨年より減ってしまいました。そんなわけで、下記のアルバム・ジャケットも、リイシューも含めてヴォリューム感を出させていただきました。

そして、その代わりというわけでもないですが、買うまでもないけど聴いてみたい作品をSpotifyで聴いてみるという、新しいパターンができて、今後、聴いた新譜をどう扱おうかと悩んでいる次第です。

そんな2021年の音楽シーンを個人的な視点で振り返ってみたいと思います。



【新人】
さて、今年も懲りもせず、新人・若手アーティストの発掘を、年の前半はトライしておりました。だいたい、ロッキンオン誌の新譜紹介の中から、私に響きそうなアーティストをつまんでおりました。ポスト・ロック系のブラック・カントリー・ニュー・ロードスクイッドは、若い人がこんな音楽をするんだと、嬉しくなったものです。昨年、BBCの"Sound of 2020"の首位に輝いたセレステのデビュー・アルバムも注目されました。個人的に、今年の新人の中では、ボノの息子が在籍するインヘイラーのデビュー・アルバムが最高の出来であったと思います。世間的な評価がどうだったかフォローしてないんですが、個人的には大収穫でした。

それでは、インヘイラーの"My Honest Face"をお聴き下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=CDU4-MOFb0Y

【若手・中堅】
続いて、もはやベテランと言っていいくらいのキャリアを重ねて来ている人たちもいますが、90年代以降のアーティストのリリース状況を振り返ります。若手としては、ロイヤル・ブラッドが、相変わらずのハードな作品を披露してくれました。90年代組も、質の高い作品を発表しました。UKでは、マニック・ストリート・プリーチャーズデーモン・アルバーン、USではウィーザートム・モレノの新作を聴きました。ウィーザーはなんと2枚のそれぞれ趣向の違うスタジオ・アルバムを発表するという、精力的なリリースでした。

そんな積極的な姿勢に敬意を表し、ウィーザーの"Blue Dream"をお楽しみ下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=ryauKnPwIEI

【リイシュー・未発表音源】
昔の音楽を聴くのは、あまりロック的姿勢ではないのですが、いろいろ商業的にオールド・ロック・ファンの琴線をくすぐる作品が、今年もたくさん発表されました。未発表音源としては、ボブ・ディランのブートレッグ・シリーズ第16弾、プリンスの2010年のお蔵入りアルバムが陽の目を見ました。未発表ライヴも、ニール・ヤングのアーカイヴ・シリーズを始め、ブルース・スプリングスティーンロニー・ウッドエミルー・ハリスの発掘ライヴが楽しめました。そして、リイシューでは、ザ・バンドの"Stage Flight"の50周年記念盤に加え、なんと言っても1年待たされたザ・ビートルズの"Let It Be"が嬉しかったですね。幻のアルバム"Get Back"も再現されたのは、本当に生きてて良かったと思わせてくれました。映画"Let It Be"も"Get Back"として生まれ変わり、当時の様子をより正確に把握することができるようになりました。

それでは、ザ・ビートルズの"Let It Be"から、オリジナル・アルバムには収録されなかった"Don't Let Me Down"のリハーサル風景を映画"Get Back"の映像でお楽しみ下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=385eTo76OzA

【ベテラン】
30年以上のキャリアを誇るベテランの中にも、その地位に安住することなく、このコロナ禍の中、新作を発表するアーティストが続出しました。UKでは、ポール・ウェラーヴァン・モリソンが新作を発表しましたし、元XTCのアンディ・パートリッジがEPながら、過去にお蔵入りとなった曲を新録で発表してくれました。ロバート・プラントは、アリソン・クラウスとのデュエットを復活させました。USからは、ジャクソン・ブラウンニール・ヤングの新作が届けられました。ZZトップのビリー・F・ギボンズのソロも面白かったです。テデスキ・トラックス・バンドは名作"Layla"の再現ライヴをリリースしてくれました。そしてスタックス・サウンドを支えたスティーヴ・クロッパーの久々のソロ作品も痛快な1枚でした。

それでは、スティーヴ・クロッパーの新作から"Out of Love"をお聴き下さい。

https://www.youtube.com/watch?v=Y5WY1Nxxzzs

 

【墓碑銘】
それでは、ラストに今年亡くなった方を追悼したいと思います。

ティム・ボガード<ヴァニラ・ファッジ他>(1月13日、享年76歳)
フィル・スペクター(1月16日、享年81歳)
チック・コリア(2月9日、享年79歳)
バニー・ウェイラー<ザ・ウェイラーズ>(3月2日、享年73歳)
レスリー・マッコーエン<ベイ・シティ・ローラーズ>(4月20日、享年65歳)
B・J・トーマス(5月29日、享年78歳)
ダスティ・ヒル<ZZトップ>(7月27日、享年72歳)
ドン・エヴァリー<エヴァリー・ブラザーズ>(8月12日、享年84歳)
チャーリー・ワッツ(8月24日、享年80歳)
マイク・ネスミス<モンキーズ>(12月10日、享年78歳)

やはりチャーリーの死はショックでした。今回のラストはチャーリー・ワッツ・クインテットとして、96年にUSのTVショーに出演した時の映像で締めくくりたいと思います。曲は"What's New"

 


なかなかコロナの脅威から逃げられない人類ですが、来年こそ、日常が戻り、ミュージシャン達も通常の活動に戻れることを切に願って、行く年を送りたいと思います。