現代のソウル・シーンは、なかなかフォローし切れていないのですが、この夏に東京に来てから、新宿のタワー・レコードで、いろいろ試聴する機会が増えて来たものですから、多少ながら情報量が増えております。

そんな中、タワレコが推す新人としてディスプレイされていたのが、このヴィクトリーという女性黒人シンガー。2~3曲試聴して、即、購入を決心しました。

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The Broken Instrument / Victory

18年発表

本名なヴィクトリー・ボイド。USはデトロイトの出身で、音楽一家に生まれ、12歳の時に、一家ともどもニューヨークに移住。セントラル・パークで歌っていたヴィクトリーを、ヒップホップ・アーティストのジェイ・Zが注目し、彼のレーベルと契約。昨年、EPを発表。そして、今年、デビュー・アルバムを発表するに至りました。

アコースティック・ギターを爪弾きながら歌うスタイルから、80年代に活躍したトレイシー・チャップマンや、フォーキーなウィスパリング・ヴォイスで00年代に評判となったコリーヌ・ベイリー・レイなどを思わせるサウンドに、心癒されました。

本人は、「ジャズとフォークの融合が最も良い定義だと思う」と言っていますが、まさにジャンルを超えた音楽を楽しませてくれる、とっても楽しみな新人です。


① Againsut the Wind
② Open Your Eyes
アコースティックなサウンドに乗せた、透明感溢れるヴォーカルが印象的なオープニング・ナンバーの①。抑制されながらも情感溢れるヴォーカルが耳を惹き付けます。アルバムに先行してシングル・カットされた②も、オーガニックなサウンドが心地良いうえに、メロディもポップで好感が持てます。


③ Weatherman
速いテンポで歌詞が歌われる③も、伸びのあるサビのメロディが印象的なナンバー。
https://www.youtube.com/watch?v=MP37k6jVpso

④ Who I Am
⑤ Jazz Festival
ドラムのリズムが強調される④でも、さらりと歌うヴィクトリーのヴォイスにうっとりとさせられます。ジャズがベースにあることを示すタイトルの⑤では、洗練されたサウンドが楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=ozrCKRLOyrk

⑥ Interlude
⑦ Extraordinary
間奏曲というタイトル通りのインスト・ナンバーの⑥をはさんで、フィリー・サウンドを思わせる、キラキラ感のメロディが印象的な⑦が流れて来ます。ポップなサビがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=wo_ArL20Sww

⑧ A Happy Song
⑨ First Night Together
⑩ Don,t You Ever
軽快なリズムで進む⑧も、いい感じのポップさで親しみ深い曲。⑨はピアノをバックにしっとりと歌われるバラード調ナンバー。ボイド家のきょうだいによるインフィニティズ・ソングというグループをフィーチャリングした⑩も印象的なナンバーです。

⑪ I. Broken Instrument
⑫ II. Broken Instrument
⑬ III. Broken Instrument
ラスト3曲は、組曲編成のアルバム・タイトル・ナンバー。ピアノとストリングスをバクに悲し気なメロディが流れる⑪。ポエトリー・リーディングのような⑫。ホーンとストリングスをフィーチャした⑬。それぞれ表情は違いますが、トータルとして整合感のある3曲で締めくくります。最初の⑪をどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=YugVF84VDbQ


基本的に全編統一された雰囲気の曲が流れてくるため、曲ごとの解説がイマイチ、メリハリがありませんでしたが、それだけ、新人と思えないほど、しっかりとした自分の世界を築き上げているとも言えましょう。

英語のウィキペディアでも、まだ登録されていないシンガーですが、私、必ずやブレイクするものと思っております。