ザ・ビートルズのデビュー・アルバムというのは、世界各国で違っているようで、公式にはUKデビュー・アルバム「Please Please Me」ということになっていますが、USでは、マイナー・レーベルからのものと、大手キャピトルからの「Meet the Beatles」の2種。そして、ここ日本では、キャピトルのデビュー・アルバムと似たようなジャケットながら、収録曲がずいぶん異なっている同名タイトルのアルバムが、デビュー・アルバムということになっています。

USでは、64年4月4日号のビルボード誌で、チャートの1位から5位までを独占した直後の4月5日(15日説もあり)に、ここ日本で、彼らのデビュー・アルバムが発表されました。既に2枚のシングルが発表されていましたが、ここに彼らの全貌が露わになりました。

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Meet the Beatles! (Japanese Edition) / The Beatles

64年発表

邦題は「ビートルズ!」。UK盤の「With the Beatles」のジャケットを流用したUS盤「Meet the Beatles」をベースに、タイトル文字を赤色に変えた、日本独自のジャケット。収録曲もUS盤は、10曲にとどまっていましたが、日本盤は、UK盤と同様A・B各面7曲、計14曲と、ヴォリュームも満点でした。

選曲はUKデビュー曲から最新シングルまで5曲と、UKで発表された2枚のアルバムから、バランス良く選曲。この時点でのベスト・アルバムと言っても過言でない、素晴らしい選曲。

このアルバムは、日本では長く彼らの1stアルバムという位置づけでした。76年にUK・US・日本盤を全てをオリジナル・ジャケットで発売されるようになって、日本独自アルバムという位置づけになり、CDの時代にUKオリジナル・アルバムのみに統一されてからは、歴史に埋もれることになりました。やっぱり、70年代以前からビートルズを聴いて来た日本人にとっては、彼ら1stアルバムは、コレというイメージが強いですね。

このアルバムは、09年6月に取り上げております。
https://blogs.yahoo.co.jp/kosi0810/41061858.html

① I Wanna Hold Your Hand
オープニングはUSと日本でのデビュー曲(日本では「Please Please Me」の方が早かったとする説あり)。UKでは5枚目のシングルとなったナンバー。初期のビートルズの勢いが最高潮に達した瞬間の作品。邦題は「抱きしめたい」。


② She Loves You
③ From Me to You
④ Twist And Shout
さらに初期の彼らの代表曲が続きます。UKでは4枚目のシングルとなった②、さらに1枚遡りUK3枚目シングルの③と、ヒット・ソングの3連発。UKデビュー・アルバムのラストに収録されていた④が、3連ヒットに続きます。ジ・アイズレー・ブラザーズのカヴァーながら、彼らのライヴの定番となりました。ジョン・レノンの限界ギリギリのヴォーカルは、鬼気迫ります。
https://www.youtube.com/watch?v=b-VAxGJdJeQ

⑤ Love Me Do
⑥ Baby It,s You
⑦ Don,t Bother Me
ここで、UKデビュー曲の⑤が流れて来ます。UKでは大ヒットに至らなかったものの、USでは①のヒット後にNo.1となっています。UKデビュー・アルバムのB面に収録されていた⑥は、ザ・シュレルズのカヴァー曲。作者にはバート・バカラックの名前も見られる、物悲しいバラード・ナンバー。⑦はUK2ndアルバムに収録された、ビートルズ初のジョージ・ハリスンの手による作品。ヴォーカルもジョージがとっています。

⑧ Please Please Me
B面はUKチャートで初のNo.1を獲得した2ndシングルの⑧でスタート。彼らの出世作。本来、スロー・テンポの曲だったのですが、これをスピード・アップしたところ、時代を切り拓く名曲になりました。
https://www.youtube.com/watch?v=q3NTVkHwD5I

⑨ I Saw Her Standing There
⑩ P.S. I Love You
⑪ Little Child
⑫ All My Loving
⑨はUKデビュー・アルバムのオープニングを飾った記念すべきナンバー。さらに、⑤のB面として発表された⑩を収録。ポール・マッカートニーのメロウなソロ・ヴォーカルが印象的。UK2ndアルバムのA面に収録されたオリジナル・ナンバー⑪。イントロのカオティックなサウンドが印象的なテンポの良いナンバー。そして、非シングル曲ながら赤盤にも収録された⑫もUK2ndアルバムから。エド・サリヴァン・ショーでも1曲目に演奏され、多くのアメリカ人が初めて聴いた彼らの曲と思われます。
https://www.youtube.com/watch?v=k5r4gUK-LS8

⑬ Hold Me Tight
⑭ Please Mister Postman
⑬もUK2ndアルバムのB面に収録された、この時期の彼らのナンバーでは、地味な存在。ポール中心のヴォーカルで、ロックン・ロール・リフで迫って来ます。そして、ラスト⑭は、UK2ndアルバムのA面ラストに収録された、モータウンのザ・マーヴェレッツのカヴァー曲。後にカーペンターズのカアーでもヒットしました。
https://www.youtube.com/watch?v=Jzy4R8EbWJ4

シングル曲を5曲も収録したため、この時期の彼らのもう1つの魅力であるカヴァー曲は3曲だけの収録となりましたが、いずれも名演。世界制覇を成し遂げた彼らの、怒涛の勢いを感じさせるアルバムが、ここ日本で創られました。