再開宣言をしてから、だいぶ間が空いてしまいましたが、「20世紀のロック・アルバム」の第2クール、いよいよ再開いたします。なかなか、ゆっくりとアルバム・レヴューを書く時間がとれないので、どんなペースになるかわかりませんが、ゆるゆると進めて行きたいと思います。

第1弾には、ロックの歴史を語る上では、決して忘れてはいけない巨人、エルヴィス・プレスリーの、記念すべきデビュー・アルバムを取り上げることとしました。

イメージ 1

Elvis Presley (1st)

56年発表

13歳の時に移り住んだメンフィスで音楽活動を始めたプレスリーは、54年にサン・レコードからシングルを発表し、地元で知られるようになります。55年にRCAレコードと契約し、56年1月にシングル「Heartbreak Hotel」を発表。このシングルは、4月に、プレスリーにとって初の全米No.1となり、プレスリー時代の幕開けを告げるナンバーとなりました。

このシングルが発表されたばかりの時、アルバム用の楽曲が録音されました。「Heartbreak Hotel」がチャートインする前だったので、アルバムが成功する保証がなかった時期に企画されたものでした。サン時代の録音5曲と、RCAでの2回のセッションで録音された7曲を1枚にまとめたものとなりました。このため、録音時期は54年7月から56年1月に亘っています。

同時期のシングルだった「Heartbreak Hotel」は収録されず、2曲を除いてカヴァー曲と言う内容ですが、プレスリーの魅力が存分に込められてり、アルバムの方も5月5日にチャートの首位を獲得。以後、10週連続でその地位にとどまりました。

ジャケットのデザインは、70年代後半のパンク・バンドにも影響を与えてますね。

① Blue Suede Shoes
55年にカール・パーキンスが発表したナンバー。いきなりプレスリーのヴォーアルが入り、それにバンドが続いてくるスリリングなオープニングが、最高に格好いいですね。間奏で聞かれるスコッティ・ムーアのギターも素晴らしい。


② I,m Coming on You
③ I Got a Woman
②はドン・ローバトソンというソングライターが創ったオリジナル・ナンバー。ゆったりとしたカントリー・バラード。テンポの良い③は、レイ・チャールズが54年に発表したシングル。
https://www.youtube.com/watch?v=KfAoeM-uT4A

④ One Sided Love Affair
⑤ I Love You Because '''
⑥ Just Because
④はビル・キャンベルが書いて自ら発表したナンバーのカヴァー。ピアノも導入されたノリの良いナンバー。49年にレオン・ペインというカントリー・シンガーが発表した曲をカヴァーした⑤は、ゆったりとした心安まる曲。⑥のオリジナルは29年に発表されたカントリー・ナンバー。こちらは、スピード感のある小刻みなリズムが軽快です。
https://www.youtube.com/watch?v=Yprp7r8c8D8

⑦ Trutti Frutti
リトル・リチャードで有名な⑦も、この歴史的名盤に収録されていました。イントロのかけ声は有名ですね。ロックン・ロールのスタンダード・ナンバー。
https://www.youtube.com/watch?v=0etRSY9HMbw

⑧ Tryin, to Get to You
⑨ I,m Gonna Sit Right Down And Cry (Over You)
⑩ I.ll Never Let You Go (Little Darlin.)
⑧はR&Bヴォーカル・グループのジ・イーグルスの54年のナンバー。ミドル・テンポのゆったりとした曲です。⑨は53年に書かれたポピュラー・ソング。ビートルズもBBCライヴで演奏していました。⑩はジミー・ウェイクリーというC&Wシンガーが書いたオリジナル・ナンバー。スロー・テンポな曲に、プレスリーのセクシーなヴォーカルがマッチしています。

⑪ Blue Moon
⑫ Money Honey
34年に書かれたスタンダード・バラードの⑪は、音数の少ない、戦前バラードの雰囲気を感じるナンバー。ラストの⑫はクライド・マックファッターが、ザ・ドリフターズをバックに歌った曲。テンポの良いR&Bナンバーで、アルバムは幕を閉じます。
https://www.youtube.com/watch?v=WnZWIbv4cjU

ザ・ビートルズをはじめ、60年代のロック・アーティストに多大な影響を与えたキング・エルヴィスが、世に出た出世作。ロックの歴史が、今、始まりました。