究極シリーズ第3弾のパンク・ロック・ソングス。第3回目の今回は、ちょっとパンク・ロックといった感じではないのですが、パンクを生む土壌となったパブ・ロックや、この後のニューウェイヴへと発展する萌芽を感じさせる新感覚バンドが登場したりと、早くも混沌とした当時のシーンが再現されたかのラインアップになっております。

さっそく、ご紹介して参りましょう。

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⑪ Peaches / The Stranglers (1977)
⑫ Autonmy / Buzzcocks (1978)
⑬ (I Can't Get No) Satisfaction / Devo (1978)
⑭ Sex And Drugs And Rock And Roll / Ian Dury (1977)
⑮ Heart of the City / Nick Lowe (1976)

当時の日本では、ピストルズ、クラッシュと並んでパンク御三家とも呼ばれたザ・ストラングラーズでスタートです。「⑪ Peaches」は彼らにとって2枚目のシングルで、UK国内で初のトップ10ヒットとなったナンバーです。パンクらしい疾走感はなく、タメの効いたミディアム・テンポのロック・ナンバーですが、ちょっとエロテイックでお下品な歌詞が、パンクらしさをキープしておりました。
https://www.youtube.com/watch?v=pC6rQ1n9tXM

続いては、マンチェスター出身のパンク・バンド、バズコックスです。初期のパンクバンドの一角ではありますが、ピストルズのライヴに触発されてこの路線に走ったので、第二世代というか、弟分的存在といった感が強いです。とはいえ、78年にデビューを果たしており、今回ピックアップしました「⑫ Autonomy」は、そんな彼らのデビュー・アルバムに収録されております。
https://www.youtube.com/watch?v=J7HJXCYPCuU

今回、唯一のUSバンドは、オハイオ州アクロンから現れた、突然変異的パンク・バンド、ディーヴォです。サウンド的には、テクノポップや、この後流行るニューウェイヴ的な雰囲気を持ってりますが、ストーンズのあの名曲を、ここまでぶっ壊したことは、正にパンクと言っていい爽快感がありました。「⑬ (I Can,t Get No) Satisfaction」です。
https://www.youtube.com/watch?v=jadvt7CbH1o

さて、UKパンクと当時紹介されていたもの中には、本来ならパブ・ロックと呼ぶべきものも含まれていて、今から思うと、猫も杓子もパンクと呼ばれていたような気がします。「⑭ Sex And Drugs And Rock And Roll」も当時はUKパンクのヒット・ナンバーとして紹介されておりましたが、今から思うとパブ・ロックに陽の目があたった瞬間と捉えた方が良さそうな気がします。と、難しいことを言っていてはいけない位、ご機嫌なナンバーです。40秒辺りから始まります。
https://www.youtube.com/watch?v=i3lLJ9XqHhA

そして、今回ラストは、これまたパブ・ロック・シーンから評価をあげてきた、ニック・ロウ「⑮ Heart of the City」です。彼のソロ・デビュー・シングルのB面に収録され、初のソロ・アルバムにも収録されたナンバー。いろんな面で、初期のUKパンクの隆盛に貢献した人であると思います。



70年代後半の混沌とした時期。パンクも、パブ・ロックも、ごちゃごちゃで、そんな中からニューウェイヴまで出て来る、時代の過渡期にありがちな、シーン全体が方向感を見失った時期で、それだからこそ面白い時期でした。