昨年のサマソニの予習を兼ねて「ピックアップ・アーティスト」のコーナーで取り上げたレイディオヘッドですが、昨年7月に第3回目として「OK Computer」を取り上げた後、サマソニも終わってしまって、それっきりになっておりました。

しかし、たった3枚だけご紹介したままでは、次のアーティストに進むわけにも行かず、7か月以上のブランクとなってしまいました。

そんなわけで、意を新たにしまして、レイディオヘッドのアルバム紹介、再開させていただきます。

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Kid A / Radiohead

2000年発表

実は、このアルバム、私にとって初レディヘでした。時代の先端を行くロック・バンドということで、リアルタイムのロックに戻ってきた私も当時新譜として発表されていたこのアルバムをゲットしたのですが、正直ダメでした。エレクトリックなサウンドを基調としており、リズムを強調したロックの世界とは全く異なる世界で、ポスト・ロックというのは、こういうもんかと思った次第でした。

前作と比べても、かなり急進的な世界に入り込んでおり、発表当時は賛否両論を巻き起こした作品でしたが、今ではこのアルバムがあったからこそ、レディオヘッドの評価が高まったとされる、彼らの代表作の1つと受け止められています。

17年経って冷静に聴いてみると、いわゆるエレクトロニカに属するサウンドではあるのですが、ジャーマン・ロックや、ジャズ、20世紀現代音楽にも通ずる面もあるサウンドで、その先鋭過ぎるサウンドの刃は、他の追随を寄せ付けない緊張感あふれるものであると感じます。


① Everything inIts Right Place
エレピの物悲しげなイントロで始まる曲は、そのジャケットの雰囲気もあって、どこか氷の世界から響いてくるような感触がありました。トム・ヨークのヴァーカルには、静寂ながら鬼気迫るものを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=YtKI41uk58A

② Kid A
アルバム・タイトル曲の②はエレクトロニカ系ですが、アフロっぽいリズム感も感じる不思議な雰囲気の曲。
https://www.youtube.com/watch?v=IlNAF1bDXkk

③ The National Anthem
個人的には、このアルバムで最もしっくりと来た曲。曲全体を統べるベース・ラインと、フリー・ジャズ風のホーンの響きが最高に格好いいナンバーです。


④ How to Disappear Completely
アコースティック・ギターがフィーチャされた、凍てついた牧歌的ナンバー。こういう曲を聴いていると、現代のプログレッシヴ・ロックって雰囲気があります。神々しさすら感じる曲。
https://www.youtube.com/watch?v=DhhWWGEzRL0

⑤ Treefingers
インスト・ナンバーの⑤は、ブライアン・イーノのアンビエント・ミュージックみたいな雰囲気があります。残念ながら適切なYouTube音源がありませんでした。

⑥ Optimistic
このアルバムで唯一の、ギター、ベース、ドラムスのみによるナンバー。従来の延長線上にあるサウンドで、馴染み易いのですが、当時はこの曲ですら、ロックの地平から遠く離れた感がありました。
https://www.youtube.com/watch?v=mcPOZmS_MFI

⑦ In Limbo
ヨークの言によればザ・ポリスみたいだという曲で、そう言われればそうかなって感じですね。このアルバムの中では、他の曲と見事に調和した曲であります。
https://www.youtube.com/watch?v=jllLfkLHwbI

⑧ Idioteque
ミニマルなエレクトロニカ系サウンドではあるんですが、ヨークが歌うメロディが結構ポップな感じなので、なんとなく明るい雰囲気を感じるナンバー。
https://www.youtube.com/watch?v=jX-fDKWGbRs

⑨ Morning Bell
ノイズで終わる前曲とつながって、ドラムのビートに導かれて始まる⑨。5拍子のリズムがなんとも不安定な感じですが、こちらもヨークのヴォーカルがグイグイ引っ張っていく曲。
https://www.youtube.com/watch?v=VdFCROI50Qk

⑩ Motion Picture Soundtrack
彼らの曲の中でも人気の高い1曲。デビュー当時には既に出来上がっており、ライヴでも演奏されてきたナンバー。こちらでは、パイプ・オルガンを模したサウンドをバックに、讃美歌のように歌われる実に美しいナンバー。
https://www.youtube.com/watch?v=6ju8xO_Zvfo


ロックの常識を打ち破ったアルバムであり、その荘厳さ、美しさは、現代でも色あせることはありません。個人的にも17年の月日を経て、ようやく理解できたアルバムであると、本日感じた次第です。