ピックアップ・アーティストの第16集は、リユニオンの噂で盛り上がっている、レッド・ツェッペリンをお届けしております。前回は76年に発表された73年のライヴを収録したアルバムをご紹介しましたが、本日は、5thアルバム「Houses of the Holy」に続いて発表された75年の新作です。

個人的には、これがリアルタイムで初めて経験した、ZEPのニュー・アルバム。予定より発表が遅れて、やきもきしましたが、LP2枚組15曲収録とてんこ盛りの彼らの6thアルバム。もう、狂気乱舞して聴かせていただきました。

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Physical Graffiti / Led Zeppelin

75年発表

73年のツアー終了後、11月から新作の録音に入ったZEPの面々でしたが、ベース&キーボードのジョン・ポール・ジョーンズが脱退したいと言い出したため、一旦、録音が中断され、なんとか彼を説得して、74年春から録音を再開。本来、74年9月に発表される予定だったそうですが、ミキンシングの遅れや、凝ったアルバム・ジャケットの制作に手間取り、75年2月に発表されました。日本盤発売日に、雪の中、レコード屋まで買いに行ったことを思い出します。

当初は、新作のみの作品にする予定だったのですが、新規に録音された8曲は収録時間が長い曲も多く、とてもLP1枚には収まらなかったため、過去のアルバムのアウトテイク7曲を持ち出して、LP2枚組に仕上げたのでした。リアルタイムでは、曲のタイトルから、なんかそんな気もしてましたが、全て彼らの新作として向き合い、彼らの幅広い音楽性と、破壊的なサウンドは、私にいたく衝撃と感動を与えました。

一般的に彼らの代表作と言われる2ndや4th、私が個人的に好きな1stや7thアルバム「Presence」など、彼らの最高傑作をどれにするか、いろいろと議論のあるところではあると思いますが、このアルバムは彼らの幅広く深い音楽性と、ジョン・ボーナムのドラムスに代表されるダイナミクなサウンドを最も楽しむことができるアルバムだと思います。

「20世紀のロック・アルバム」として、07年5月に取り上げております。
http://blogs.yahoo.co.jp/kosi0810/19162366.html


① Custerd Pie
記念すべき超大作のオープニングは、新曲の①.これぞ、まさにヘヴィ・メタルといった言葉通りの、超硬質なロック・ナンバー。イントロのジミー・ペイジのギターが、華やかな狂演の開始を荒々しく告げます。
https://www.youtube.com/watch?v=qyI7QAnaVQQ

② The Rover
前作「Houses of the Holy」のアウトテイクですが、とてもボツ曲とは思えない仕上がり。リアルタイムでも、結構気に入っていた曲で、彼らのストックの奥深さを感じさせます。
https://www.youtube.com/watch?v=FSY_PNW0YHo

③ In My Tme of Dying
ボブ・ディランも取り上げたゴスペル・ソング「Jesus Make Up My Dying Bed」'''を素材(?)にメンバー4人(のクレジット)で創り上げた11分にも及ぶナンバー。当アルバムのハイライトの1つで、当時、渋谷陽一のラジオ番組でも全編披露されました。
https://www.youtube.com/watch?v=dGR3m5Zs9Ic

④ Houses of the Holy
B面トップは、これはもうタイトルからおわかりの通り、前作のアルバム・タイトルにもなった、前作のアウトテイク。アルバム・タイトルに取り上げられながら、アルバムに収録されなかった不幸な曲ですが、これもクオリティの高い曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=t_sU2yeIhzk

⑤ Trampled Under Foot
アルバムから唯一シングル・カットされたナンバーで、ジョーンズのクラヴィネットが全編鳴り響く、ファンキーなハード・ロック。
https://www.youtube.com/watch?v=HGFITl5mFvs

⑥ Kashmir
B面ラストに収録された⑥は、これまた彼らを代表するナンバー。高揚感を煽るようなストリングスと、ロバート・プラントの郷愁を誘うヴォーカル、さらには、着実かつ壮大なビートを刻むボーナムのドラミング、全てがバッチリとはまった名曲です。


⑦ In the Light
ディスク2、C面トップは、ZEP流プログレッシヴ・ロックと呼んでもいいような構成力のあるナンバー。インド風、中近東風の前半から、まさに光が差したようなサビのギターのフレーズで、雰囲気が一転します。(映像はありませんでした。)

⑧ Bron-Y-Aur
これもタイトルからおわかりの通り3rdアルバムに良く似たタイトルの曲があった通り、そのアルバムのアウトテイク。ライヴでは頻繁に演奏されていた、ペイジのアコースティック・ギター・ソロ・ナンバー。新レーベルの「Swan Song」とはこの曲のことではないかと思うくらい、美しいギター・ソロです。
https://www.youtube.com/watch?v=2YZ_lIpG1XQ

⑨ Down by the Seaside
トロピカルな雰囲気で、レイドバックした感じの⑨は4thアルバムのアウトテイク。これはさすがに4thに入れなくて良かったなと思いますが、このアルバムではそれなりの存在感を誇ってます。
https://www.youtube.com/watch?v=Zb55HHLoB70

⑨ Ten Years Gone
そして、これまたこのアルバムの名演の1つ⑨.ペイジの奏でるギターがどんどん厚くなってくる実にドラマチックなナンバーです。これもかなり好きな曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=o2AEnLAP9XY

⑩ Night Flight
ここから最終面のD面に入ります。⑩は4thアルバムのアウトテイク。実にポップなナンバーで、「Four Sticks」の代わりに、こちらが入っていたら私は許します。
https://www.youtube.com/watch?v=UV7tBUAxkwA

⑪ The Wanton Song
実はこの曲大好きなんです。これぞ破壊屋ZEPの真骨頂とも言うべきナンバー。もちろん、このアルバムのために録音された新曲で、次作「Presence」にも繋がっている曲。ブリュッセルのライヴでどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=lkjmqG16Be0

⑫ Boogie with Stu
ザ・ローリング・ストーンズのバックアップ・ミュージシャンで、6人目のストーンズと言われたイワン・スチュワートのピアノをフィーチャーした、これまた4thアルバムからのアウトテイク。気楽なジャム・セッションって感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=CYyHfztkPUY

⑪ Black Country Woman
雰囲気は3rdアルバムのB面に収録されそうな曲ですが、前作のアウトテイク。電子楽器が幅を効かせていた前作の録音時にも、こんな曲が録音されていたというのがビックリです。
https://www.youtube.com/watch?v=21Qc8ON5mQU

⑫ Sick Again
ラスト・ナンバーはやはり新曲で締めます。ハードで重たいギターが曲全編を支配しており、独特のグルーヴ感も感じる、実にZEPらしいナンバー。
https://www.youtube.com/watch?v=w0_SN3NbrBM


2枚組ながら、このアルバムは本当に全編を通して良く聴きました。アウトテイクと知らずに、ヴァラエティに富んでるなぁと感心して聴いていたので、本当に飽きの来ないアルバムでした。