国民の祝日に余裕があれば掲載いたしております、アトランティック・レコードの27年にわたる期間に発表された、珠玉のR&Bを詰め込んだコンピレーション。遂にオリジナル盤ではラストとなる第8巻に辿り着きました。

ラストは70年代に入り、70年から74年の作品。時代はまさにニュー・ソウルの時代。黒人シンガーも単なる歌手ではなく、アーティストとして自らの主張をするようになり、新しい時代の到来を告げるものでした。

サウンド的にも、ずいぶん洗練された感じになってきて、この時代はR&Bというよりは、ソウルと呼んだ方がピンと来ます。

そんな時代の20曲、ご紹介して参りましょう。


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Atantic Rhythm & Blues 1947-1974 Disc8 (1970-74)

85年編集

① Don,t Play That Song (You Lied) / Aretha Fraklin
② Precious, Precious / Jackie Moore *
③ Groove Me / King Floyd *
④ Pathes / Clarence Cater
⑤ Don,t Know My Love / Wilson Pickett

⑥ Funky Nassau (Parts 1 & 2) / The Beginning of the End *
⑦ Thin Line between Love And Hate / Persuaders *
⑧ Rock Steady / Aretha Franklin
⑨ Day Dreaming / Aretha Franklin
⑩ You,ve Got a Friend / Roberta Flack & Donny Hathaway

⑪ Clean Up Woman / Betty Wright *
⑫ Could It Be I,m Falling in Love? / The Spinners *
⑬ Killing Me Softly with His Song / Roberta Flack
⑭ Where Is the Love? / Roberta Flack & Donny Hathaway
⑮ I,ll Be Around / The Spinners

⑯ Feel Like Makin, Love / Roberta Flack
⑰ One of a Kind (Love Affair) / The Spinners
⑱ Sideshow / Blue Magic *
⑲ Mighty Love / The Spinners
⑳ Love Won,t Let Me Wait / Major Harris *

は当シリーズは初登場)


まずは、まだまだ勢いの衰えないアレサ・フランクリンの登場です。この巻では①⑧⑨と3曲が選ばれています。いずれもR&Bチャートを中心にヒットしたナンバーですが、アトランティックでの商業的成功はこの時が最後だったようです。80年にはアトランティックを離れています。アリフ・マーディンが関わった⑧をお聴きください。
⑧ Rock Steady / Aretha Franklin
http://www.youtube.com/watch?v=EiB8_PpWedk

その他、既アーティスストとしては、クラレンス・カーターの④、ウィルソン・ピケットの⑤が収録されています。そしてこの時期最も輝いていたのが、2年連続グラミー賞獲得という快挙を成し遂げたロバータ・フラック。いずれも大ヒットとなった⑬⑯に加え、ダニー・ハサウェイとのデュエット⑩⑭も深く記憶に残っています。⑬をお聴きください。
⑬ Killing Me Softly with His Song / Roberta Flack


今回、初登場となる女性シンガー、ジャッキー・ムーアは、これが唯一のヒットながら、多くのシンガーに取り上げられたとなる②を収録。60年代からエンターテイナーとして活動していたキング・フロイドは、本人が録音の5年前に書いてあった③を収録。マイアミ出身のベティ・ライトがヒットさせた⑪も、彼女にとって最大のヒット。躍動感のあるサザン・ソウルらしいリズムに乗った曲です。
⑪ Clean Up Woman / Betty Wright
http://www.youtube.com/watch?v=KOTOnFKKx7M

珍しいところでは、バハマのファンク・グループの唯一のヒット⑥が収録されています。この曲のヒットの後、すぐに姿を消したとのこと。そして、この時期はコーラス・グループが再び人気を集めます。ニューヨークで活動するパースエーダーズの⑦、当時隆盛を極めたフィラデルフィアのブルー・マジックの⑱などヒット曲が収録されています。その中でも⑫⑮⑰⑲となんと4曲も収録されたザ・スピナーズがその代表格。60年代にモータウンに在籍していた彼らは、アトランティックへの移籍後、フィリー・ソウルに路線変更。これが成功し、ヒットを連発しました。
⑫ Could It Be I,m Falling in Love? / The Spinners
http://www.youtube.com/watch?v=dln3ifkCfXs

そして、このコンピのラストを飾ったのは、これまた初登場のメジャー・ハリスの75年のヒット曲。フィラデルフィア出身のシンガーで、アトランティックには珍しい、典型的なフィリー・ソウル・ナンバーで締められるのも象徴的な気がします。
⑳ Love Won,t Let Me Wait / Major Harris
http://www.youtube.com/watch?v=grmvwGT9yxw

以上、当初のオリジナル盤8枚のCDに収録された203曲のご紹介、完了させていただきました。通して聴くと、アトランティックの歴史というより、R&Bの歴史と言っていいほど、それぞれの時代を象徴するナンバーが込められた素晴らしいコンピです。いかに、アトランティックというレコード会社が、R&Bの普及に大きな力を発揮していたのか、改めて認識させられました。

このシリーズ、2012年の再発時に、さらに追加がありましたので、このシリーズ、まだ2回ほど続きます。