4月から始まりました新企画、「裏方稼業繁盛記」。ミュージシャンやアーティストではなく、プロデューサーをはじめとした、音楽を創るにあたってスタッフとしてロックの歴史に貢献してきた「裏方」をご紹介していくこのコーナー。

今回は、70年代のプログレッシヴ・ロックやハード・ロック・シーンを視覚的なアプローチで彩った芸術集団、ヒプノシスを取り上げました。


File2:Hipgnosis

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68年に結成されたUKのデザイン・グループ。ストーム・ソーガソンオーブリー・パウエルピーター・クリストファーソンの3名が主要メンバー。ピンク・フロイドの2ndアルバム「A Saucerful of Secrets」のデザインを、ソーガソンとパウエルの2人が引き受けたのが発端。

その後、EMIレコードのジェケット・デザインの仕事を受けるようになり、70年の初めには自らのスタジオを持ちます。73年には同じくピンク・フロイドの「The Dark Side of the Moon」のジャケット・デザインにより、その評価を決定的なものとします。

その後は、プログレッシヴ・ロックに限らず、レッド・ツェッペリンのようなハード・ロック・グループの作品も手がけるようになり、多くのロック・アルバムのジャケット制作に関わりました。

83年に集団としては解散しますが、ソーガソンはその後も数多くのアルバム・ジャケットに関わり、ヒプノシス的な作品は、長くロック史を彩って来ました。

彼らの作品は、ごくごく日常的なフォトをベースとした作品が多いのですが、なぜこの写真がここに掲載されているのだろう?という疑問を必ず投げ掛けてくるものが多いですね。それも、見てるものはわからないのだけれど、創った方はちゃんと意味を持っているのだというメッセージを持っているという気がしてくる「意味深」なものが多いです。

そして、その疑問をいだきながら、音楽を聴いていると、その音楽そのものが、「意味深」で、深い味わいが感じられてくるから不思議です。


CDの時代になってジャケットの面積が一挙に小さくなってしまい、ジャケットを味わいながら音楽を聴くという習慣がなくなってきたと思ったら、遂に配信の時代になって、ジャケットそのものがなくなってしまう、ヴィニール盤時代のおやじには、なんとも味気ない世界になりました。そんあ風に思わせるのも、こういった天才芸術集団がロックに関わっていたからなのだろうなと、改めてその存在の大きさを知らせれました。

それでは彼らの偉業に思いをはせながら、牛のマークの「Atom Heart Mother」をどうぞ。