世の中のチャートは、どんどん私のようなオールド・ロック・ファンの嗜好からはかけ離れた音楽が流行っておりますが、オールド・タイプのシンプルなギター・ロックは、時折、若手ミュージシャンの中から生まれてきます。

昨年は、21世紀版恐るべき10代のザ・ストライプスが、年齢を感じさせないブルーズ・ロックを聴かせてくれましたが、今年もブルーズ・ロックにとどまらず、これまでUKロックの粋を集めたような、面白いバンドが登場してきました。

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Under the Volcano / The Family Rain

14年発表

イングランドの西部のバース出身の3兄弟によるスリー・ピース・バンド、ザ・ファミリー・レインをご紹介させて下さい。11年に結成され、12年にはインディからシングル・デビュー。その後メジャーのマーキュリーと契約し、13年に3枚のシングルを発表。そして今年2月、満を持して、デビュー・アルバムが発表されました。

とにかくこのバンドが奏でるサウンドは、60年代から00年代に現れた様々なタイプのUKロックの、いい所を全て取り込んでいるようで、節々に、おやじを惹き付けるフレーズやメロディが織り込まれています。

60年代のブルーズ・ロック、70年代のグラム・ロック、80年代のニューウェイヴ、90年代のブリット・ポップ、00年代のガレージ・ロック・リヴァイヴァルといったところの影響を受けた感じ。クリームからアークティック・モンキーズまで、あらゆる要素が凝縮されています。

ただ、彼らならではの飛び抜けた個性が今ひとつ感じられず、いろんな要素取り入れるにしても、もう少しヒネリが欲しかったなとは思いますが、1stアルバムということを考えると、これだけでも立派なものではないかとも思います。いずれにしても、大化けの可能性を秘めたトリオです。


① Carnival
② Trust Me...I,m a Genius
オープニングの①は、複雑なリズムをバックにエキセントリックに叫ぶヴォーカルで、ニューウェイヴをヘヴィにしたような爽快なナンバー。スローなリズムの②は、ピアノの響きが印象的なナンバー。
http://www.youtube.com/watch?v=Pa9mhfjAtXo

③ Feel Better (Frank)
③は昨年10月にシングルとして発表された、現時点で最新のシングル。ニューウェイヴとブリット・ポップの趣きを感じる、テンポの良いポップなナンバー。


④ Don,t Waste Your Time
⑤ Reason to Die
スローなバラード・ナンバーの④は、どことなく懐かしさを感じるメロディが印象的。⑤は昨年7月にシングルとして発表されたナンバーで、モロ、アークティック・モンキーズの影響を受けたようなナンバー。
http://www.youtube.com/watch?v=-fwD-YOiQ68

⑥ Binocular
軽やかなポップ・ナンバーの⑥は、当アルバム上、最も親しみ深いキャッチーなナンバー。アンプラグド風の映像がありました。
http://www.youtube.com/watch?v=uPGasFKZSBo

⑦ On My Back
⑧ Pushing It
ミディアム・テンポの⑦は、いかにものUKらしさを感じるメロディのロック・ナンバー。⑧もリズム感のあるミディアム・テンポのナンバー。この曲もUKならではの旋律です。
http://www.youtube.com/watch?v=OL31Y4aNWfQ

⑨ Together
⑩ All the Best
スロー・ダウンした⑨は、エレクトリック・ギターを爪弾きながら歌われるナンバー。ヴォーカルのエコー処理が、60年代のフォーク・ロックを思わせます。イントロのコーラスが美しい⑩は、アコースティック・ギターをフィーチャーした、ポップなナンバー。


既聴感を感じながら、不思議に古臭さは全く感じない、現代のロックのあり方を世に問うているような、挑戦的な優等生的作品。不安定感が、また、たまらなく来るべき何かを予感させてくれます。