サイモン&ガーファンクルがカヴァーした「Bye Bye Love」や、多くのアーティストが取り上げた「All I Have to Do Is Dream」などのヒットで知られる、50年代後半から60年代にかけて活躍した、カントリー・デュオ、ジ・エヴァリー・ブラザーズ。多くのアーティストに愛され、アメリカン・ミュージックを代表する存在として評価されています。

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彼らが、デビュー間もない58年に、彼らの父、アイク・エヴァリーから教わったというアメリカのトラディショナル・ソングを集めた、その名も「Songs Our Daddy Taught Us」という企画アルバムを制作していました。
それから55年の時を経て、この21世紀、2010年代に活躍する2人のアーティストにより、そのアルバムがリメイクされました。

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Foreverly / Billie Joe + Norah

13年発表

とにかくこの2人がコラボしたというニュースを聴いた時は、おったまげましたねぇ~。後者の「ノラ」とはもちろん、ノラ・ジョーンズ。ノラの場合は、これまでも、ロック、ジャズ、カントリー、ヒップホップといろんなジャンルのアーティストとのコラボがありましたし、本人の音楽自体も、一つのジャンルに押しとどめられないクロスオーヴァーなものでしたから、誰と組んでも、最早それほどの驚きはないと思っておりました。

ところが今回は、なんと、US現役パンク・ロックの最高峰、グリーン・デイのフロント・マン、ビリー・ジョー・アームストロングだったことから、さすがにここは想定外でした。しかも、作ったアルバムが、上記のとおり、エヴァリー・ブラザーズの企画アルバムのリメイクということもビックリでした。

このアルバム、ノラのファンであれば、それなりに楽しめますが、グリーン・デイのファンにとっては、「なんじゃいこりゃ?!」って感じだと思います。ただこういう若い2人が、50年前において既にクラシックだった曲を今に蘇らせることで、アメリカン・ミュージックの伝統を、さらに次の世代に伝えていくという、歴史的に価値のあるアルバムを創ったことは、意義のあることではないかと思います。

さらに、極東の年配リスナーにとっても、アメリカン・ミュージックのルーツを知ることのできる、とっても勉強になる作品でもありました。

各曲の出自について調べようと思いましたが、簡単にウィキペディアでチェックすることもできなかった曲も多く、今後の課題として、本日は、わかる範囲でさらりとご紹介して行きたいと思います。

① Roving Gambler
② Long Time Gone
オープニングはアコギ一本で歌われるカントリー・ナンバー。クレジットもトラディショナルとなっています。テックス・リッターというカントリー・シンガーの名前もクレジットされている②は、ほんと、アメリカの田舎のパブで流れてそうな音楽です。
http://www.youtube.com/watch?v=0R_rhdglVBk

③ Lightning Express
④ Silver Haired Daddy of Mine
③はブラッドリー・キンケイドというフォーク・シンガーの名前がクレジットされているカントリー・バラード。④はジーン・オウトリーというカウボーイ・シンガーが35年に放ったヒット曲。「Red River Valley」や「Jambalaya」を思い出させるメロディです。


⑤ Down in the Willow Garden
⑥ Who,s Gonna Shoe Your Pretty Little Feet?
⑦ Oh So Many Years
⑤は「Rose Connelly」というタイトルでも知られる19世紀の曲。⑥はトラディショナル・ソング。⑦はフランキー・ベイルズという人の作品だそうですが、どんな人なのかわかりません。
http://www.youtube.com/watch?v=q7lZhbCZ4QQ

⑧ Barbara Allen
イングランドやスコットランド起源の17世紀のトラディショナル・ナンバー。フィドルもフィーチャーして、郷愁漂うナンバーです。
http://www.youtube.com/watch?v=Yzy3-12VVzE

⑨ Rockin, Alone (In an Old Rockin, Chair)
⑩ I,m Here to Get My Baby out of Jail
⑪ Kentucky
⑨はボブ・ミラーという戦前のソングライターの作品のようです。⑩と⑪は、ともにカール・デイヴィスという人のクレジットがありますが、どんな人が良くわかりませんでした。いずれもゆったりとして、心が落ち着くカントリー・ナンバーです。
http://www.youtube.com/watch?v=QFPoVNP28Uk

⑫ Put My Little Shoes Away
ラスト・ナンバーは19世紀の後半の曲のようです。ピアノをバックに歌う2人のデュエットが美しいです。


収録曲はエヴァリー・ブラザーズの作品に同じですが、曲順が一部異なっております。エヴァリーズのアルバム曲順は以下の通りです。
A面:①⑤②③④⑥
B面:⑧⑦⑩⑨⑪⑫

日本で言えば、甲本ヒロトと平原綾香がコラボで民謡や演歌を歌うみたいな感じですが、USの乗ってる2人は、意外としっくりと来るデュエットで楽しめました。