別に兄弟でもないのに、バンド・メンバーの名前を、皆同じファミリー・ネームにして、一体感を表す手法というものがあります。元祖パンクのラモーンズや、ニュージーランドのハード・ロック・バンド、ダットサンズ、そして偉大なる覆面バンド、トラヴェリング・ウィルベリーズなどが代表的な存在ですね。

21世紀に入ってもこの手法をとっていたバンドが、UKにありました。
ジョン・フラテリ:ギター&ヴォーカル
バリー・フラテリ:べース
ミンス・フラテリ:ドラムス
によるトリオ、ザ・フラテリスの5年ぶりの新譜を、本日はピックアップいたしました。

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We Need Medicine / The Fratellis

13年発表

スコットランドはグラスゴーで05年に結成され、06にデビュー。デビュー・アルバムに収録された「Flathead」はiPodのCMに使われ、日本でも彼らの曲が頻繁に流れてました。08年に2ndアルバムを発表しますが(未聴)、09年に活動停止。各メンバーは、それぞれの活動に入りましたが、昨年、活動再開が発表され、3rdアルバムとなる新作がこのほど、届けられました。

パンキッシュなサウンドをベースとする3人組ということで、UKのグリーン・デイみたいな印象を持っておりましたが、この新作は、まさに初期のグリーン・デイを思い出させる、痛快かつメロディックなパンク・ナンバーの目白押しで、基本的にパンクスの私にとって、とっても波長の合ったアルバムでした。

デビュー・アルバム以上にキャッチーで、サウンド的にもしっかりしたサウンドの曲が多く、たいへん気に入っております。最近のヘビロテであります。


① Halloween Blues
② This Old Ghost Town
ロカビリー風のオープニグ・ナンバー①は、タイトなリズムでガンガン迫って来ます。ポップなイントロが印象的な②は、メロディがしっかりとしたパワー・ポップ系のナンバー。


③ She,s Not Gone Yet But She,s Leaving
④ Seven Nights Seven Days
マイナー調の③は、日本人好みのメロディでしっとりと攻めて来ます。ルルの「Shout」みたいな雰囲気の④は、シングル・カットもされた、ポップなパンク・ナンバー。
http://www.youtube.com/watch?v=I5QL37Sk8lU

⑤ Shotgun Shoes
⑥ Whisky Saga
⑦ This Is Not the End of the World
ミディアム・テンポのロック・ナンバー⑤は、リフがとっても印象的。アコースティックな感触のロカビリー風アレンジが格好いい⑥に続いて、バラード調のメロディが耳に馴染む⑦と、快調にアルバムが進んで行きます。
http://www.youtube.com/watch?v=tFNU0VihcOw

⑧ Jeannie Nitro
⑨ We Need Medicine
テンポの良いリズムにのせた、マイナー調でノスタルジックなメロディが心に沁みる⑧の、王道ロック感が素晴らしい。アルバム・タイトル曲の⑨も、一聴でメロディが心に残る、王道ロック・ナンバー。
http://www.youtube.com/watch?v=NHANIpPyCYE

⑩ Rock N Roll Will Break Your Heart
ポップでスピード感のある胸キュン・メロディが印象的な⑩を聴いていると、なんだか切なくなって来ます。
http://www.youtube.com/watch?v=WYuzrCNMjfU

⑪ Until She Saves My Soul
カオティックなイントロから、激しく突き進む⑪で、激しくこのアルバムの幕を閉じて行きます。


アメリカン・コミック調のジャケットの中身は、愉快痛快でご機嫌なロック・ナンバー満載の作品でした。5年のブランクなど、今のシーンじゃ、珍しいことではありません。これまで以上に成長したフラテリスの姿を嬉しく見つめることができました。