例年ですと秋の新譜祭りみたいに、大物・若手入り乱れての新譜リリース・ラッシュが起こる時期ですが、今年は割と穏やかな感じなので、助かってます。そんなわけで、マニックス以来、半月ぶりに「ニュー・リリース」のコーナーでの記事アップです。

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MGMT

13年発表

最近のUSインディーのメッカであるブルックリン出身の、男性デュオが発展したグループ、MGMTの3枚目のアルバム。3枚目にしてセルフ・タイトルとなっています。

08年のデビュー・アルバムで、サイケデリック・ロックを現代に蘇らせ、高い評価を得て、一躍シーンに知れ渡りました。デビュー・アルバムは08年を代表する一枚であると、多くの音楽雑誌に認められました。10年の2ndアルバムでは、サーフ・ミュージックも取り入れ、アルバム毎に、いろんな顔を見せて来ました。

そんな彼らの最新作は、これまた、これまでの彼らのイメージとは、一味違う音楽を展開させたものでした。ピンク・フロイドにような60年代サイケデリック・ロックを思わせる曲もあれば、80年代のポスト・パンクや、インダストリアル・ミュージックに接近したような曲もあり、これまで以上に焦点の絞れない内容になっています。

それはある意味、彼らの音楽性の深さを表すものであり、聴き込むに従って、その深みにハマって行くような心地良さを感じています。

① Alien Days
② Cool Song No.2
オープニングは、子どものヴォーカルを導入したシンセ・ミュージック。ゆったりとしたリズム感に浮遊感を感じます。タイトル通り涼しげな雰囲気の②は、アフロ風のリズム感が心地良いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=Zg2IcEHWXWo

③ Mystery Disease
④ Introspection
フリーキーなリズムに、フランジャーのかかったサウンドの③は、何やら切迫感を感じます。60年のサイケデリック・ポップ特有の懐かしい雰囲気の④は、今のところ私の一番のお気に入りナンバー。
http://www.youtube.com/watch?v=hXPtxTAMkP4

⑤ Your Life Is a Lie
当アルバムで最もポップでありながら、ポスト・パンクを思わせる金属的なサウンドが印象的なナンバー。PVもなかなか面白い。


⑥ A Good Sadness
⑦ Astro-Mancy
⑧ I Love You Too, Death
⑥も現代的なサウンドと、モヤのかかったような60年代風ヴォーカルが不思議にマッチするナンバー。ミニマルなシンセ・ミュージック・スタイルの⑦も、このアルバムの中で調和しています。さらにアヴァンギャルドにまで進んでいるような⑧も、シンセによる音の広がりが印象的。
http://www.youtube.com/watch?v=ehv5EmagNOE

⑨ Plenty of Girls in the Sea
⑩ An Orphan of Fortune
⑨もサウンドはエレクトリカルな造りですが、メロディはとってもポップなナンバー。ある意味彼ららしさを感じるナンバー。ラストもシンセによる穏やかな音世界が広がるナンバー。音の厚みがどんどん増していくエンディング。
http://www.youtube.com/watch?v=0tng0-Q6mXs


デビュー以来、熱い注目を浴び、高い評価を得て来たこのグループ。今回も、これまでの延長戦に収まることなく、さらなる自らのサウンドの探究に努めた作品であると思います。