最近、アメリカで、シェール・ガスという格安の天然ガスが産出されるようになり、世界のエネルギー需給構造が変わりつつあるという話しがあり、「シェール革命」と呼ばれたりしておりますが、このニュースを聴いて思い出すのはこの人!

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3614 Jackson Highway / Cher

69年発表

カリフォルニア出身の歌手&女優のシェールです。10代で結婚した相手のソニー・ボノと、ソニー&シェールという男女混合デュオを結成し、65年に「I Got You Babe」という全米No.1を放ち、一躍ブレイクします。

その後も、コンスタントにトップ10を放ちますが、そんな中、並行してソロ活動も行い、ソロとしてもトップ10ヒットを飛ばすなど、高く評価されました。

本日ご紹介のアルバムは、今年になって、日本ワーナーの「名盤探検隊」シリーズで再発された69年のソロ・アルバム。アルバム・タイトルには、わかる人には垂涎ものの住所が使われています。

これは、アラバマ州マッスルショールズのマッスル・ショールズ・サウンド・スタジオが位置した場所で、多くの大物ソウル・シンガーやロック・バンドが録音したことで知られてますし、そのスタジオ・ミュージシャンは、マッスル・ショールズ・サウンドを支えて来た腕利き連中がそろっています。

アトランティック・レコードからのリリースということで、アルバム制作には、ジェリー・ウェクスラートム・ダウドアリフ・マーディンが関与し、カヴァー曲を集めたアルバムを作りあげました。

サザン・ソウルを支えたバック・サウンドと、数々の著名ミュージシャンの曲に囲まれ、シェールが伸び伸びと歌い上げる、素晴らしい作品です。

① For What It,s Worth
オープニングはバッファロー・スプリングフィールドの唯一のトップ10ヒット。スティーヴン・スティルス作のナンバー。
http://www.youtube.com/watch?v=bKSJSnBf1Es

② (Just Enough to Keep Me) Hangin, On
この曲は知らなかったのですが、とってもいい曲で気に入ってます。ザ・ゴスディン・ブラザーズという、ジーン・クラークとも共演したことのあるカントリー・ロック・バンドが67年に発表したシングル。
http://www.youtube.com/watch?v=fuIDE2e2HvM


③ (Sittin, On) The Dock of the Bay
④ Tonight I,ll Be Staying Here with You
⑤ I Threw It All Away
③は言わずとしれたオーティス・レディングのスワン・ソング。④と⑤はボブ・ディランの2曲が続きますが、ホーンなんかも導入されています。いずれも当時の新譜「Nashville Skyline」からの選曲です。

⑥ I Walk on Guilded Splinters
⑦ Lay Baby Lay
⑥は当時デビューしたてのドクター・ジョンのナンバー。力強いビートが効いたアレンジです。⑦タイトルはやや違いますが、これまたディランの有名曲。しっとりとしたバーラド・ナンバー。
http://www.youtube.com/watch?v=e9t0enRC-SE

⑧ Please Don,t Tell Me
⑨ Cry Like a Baby
⑧は調べてもわかりませんでした。日本盤ライナーでも初出作品ではないかと記載されてます。カントリー風の穏やかなナンバーです。⑨はメンフィスの白人ロック・バンド、ザ・ボックス・トップスのナンバー。作者はダン・ペンスプーナー・オールダムのゴールデン・コンビ。ソニー&シェールでの映像がありました。長いトークの後、「I Got You Babe」も聴けます。


⑩ Do Right Woman, Do Right Man
⑪ Save the Children
⑩はアレサ・フランクリンでお馴染のダン・ペン作のナンバー。こちらもディープなサザン・ソウル・サウンドに仕上がってます。ラストはエディ・ヒントン作のオリジナル・ナンバー。ストリングスも導入され、彼女らしいポップなバラード・ナンバーです。
http://www.youtube.com/watch?v=h_lqBLRd4Sw


「Half-Bleed」のヒットや、グレッグ・オールマンと結婚したり、80年代には女優として、名前は良く聞いた人でしたが、今回初めてアルバムをじっくり聴かせていただきました。

マッスル・ショールズ・サウンドにのせたシェールのヴォーカルで、ご機嫌な1枚です。