ここのところ、アメリカン・スタンダードやロック、ソウルの名曲集ばかりを発表し、アーティストというよりは、歌手として活動してきた、超大物ロック・ヴォーカリスト、ロッド・スチュワート

なんかもう、この人はこの路線で生きて行くんだろうなぁと思っていたのですが、今回届けられた新作は、彼本人やサポート・ミュージシャンらの名前がクレジットされた、オリジナル新作集でした。

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Time / Rod Stewart

13年発表

久々のロッドの新作ということだったのですが、最初は買おうかどうしようか迷っておりました。とりあえず「Music Unlimited」でアルバム通しで聴いてみたところ、これがとっても良い出来だったので、ゲットいたしました。

私、アトランティクを渡ってからのロッドは、なんか煌びやかなロック・スター然としてて、あんまり好きではなかったのですが、それ以前の第1期ジェフ・ベック・グループから、フェイシズ在籍時のマーキュリー・レコードからソロ作品を発表していた時期は、ロック一筋って感じで大好きであります。

今回のアルバムはどこがどうと言うわけではないのですが、そのマーキュリー時代を彷彿とさせるものがあって、たいへん気に入っております。カントリーやスワンプといった土の匂いのするサウンドに乗せて、年輪を重ねた枯れた味わいのヴォーカルは、ロッドの真の実力を感じさせ、実に安定感があります。

① She Makes Me Happy
オープニングを飾るのは軽快なアップテンポのナンバー。ポップなメロディでシングル・カットもされてます。アコースティックな感触のサウンドも心地よい。


② Can,t Stop Me Now
③ It,s Over
続く②もテンポの良いポップなナンバー。メロディも一緒に口ずさめる位の親しみ深いですね。③はしっとりとしたバラード・ナンバー。ハスキーなロッドのヴォーカルが心に沁みます。
http://www.youtube.com/watch?v=MAE35c5WRXY

④ Brighton Beach
⑤ Beautiful Morning
ジャケットの写真はこの曲のタイトルから来てるのですかね。モッズの聖地ブライトンを歌った④も素敵なバラード・ナンバー。⑤も親しみやすいポップなナンバー。未だシングル・カットされてませんが、売れ筋ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=Gu3vYPTiDUY

⑥ Live the Life
⑦ Finest Woman
⑧ Time
ロッドの名曲「Maggie May」を思わせるカントリー調の⑥は、フィドルのサウンドが長閑な雰囲気です。タイトなリズム感が心地良い⑦も、マーキィリー時代のロッドを思わせます。ホーン・セクションも迫力あります。アルバム・タイトル曲の⑧はピアノをフィーチャーしたバラード・ナンバー。これもフェイシズ時代を彷彿とさせるナンバー。
http://www.youtube.com/watch?v=hGEwHBNomLM

⑨ Picture in a Frame
⑩ Sexual Religion
⑨はストリングスをフィーチャーした、スタンダード風のナンバー。トム・ウェイツの99年のアルバム「Mule Variations」収録曲のカバー。⑩はミドル・テンポのディスコ風サウンドが、70年代後半のロッドを思い出させます。相変わらずライヴではいっぱいはべらしてます。
http://www.youtube.com/watch?v=eqcFtyYBQMk

⑪ Make Love to Me Tonight
⑫ Pure Love
カントリー調の⑪は、フィドルのサウンドがいい雰囲気で、思わずホッとしてしまう感じです。そしてラストの⑫は、ピアノとストリングスをフィーチャーした映画音楽のような厳かなバラード・ナンバーで、ドラマチックに幕を閉じます。


本当に、これまでオリジナル作品を録音して来なかった人とは思えない作品の充実ぶりに、感激しております。いろんなタイプの曲がありながら、いずれも実にロッドらしさを感じる素敵な作品でした。