90年代から00年代にかけて、独特のサウンドで常に話題になって来た、ボビー・ギレスピー率いるプライマル・スクリームが10年代初のアルバムを発表しました。

私、このバンドどうも掴みどころがなくて、個々の作品は良くできてるのですが、バンドとしてのイメージがどうも一定しなくて、注目してるけどファンというのとはちょっと違うって印象を持ってます。

そういう意味で、実に彼ららしい新作でした。

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More Light / Primal Scream

13年発表

♪ツノ出せ~、ヤリ出せ~

時にはダンス・ミュージック、時にはスワンプ・ロック、時にはエレクトロニカと言った感じで、出すアルバムごとに与える印象が異なり、どれが彼らの本来の姿かが、全く掴めていないのです。90年代の以降のバンドは、そんなに深く聴いてきたわけではないので、彼らの本質がわかっていないだけなのかも知れませんが、このサウンドの振れ幅は、これまで聴いたどんなバンドよりも大きいような気がします。

今回の新作も、最初はウ~ンって感じでしたが、何回も聴いてるうちに、なかなか良い作品だと思うようになって来ましたが、いろんなタイプのサウンドが並んでおり、相変わらず真の姿を掴めないまま、聴き進んでいくような内容です。

このブログでもご紹介した前作(記事はこちら)から既に5年が経ってしまいました。前作は結構ストレートな作品で、ようやくこのバンドも落ち着いてきたのかなぁと思ってましたが、そんな簡単には変わっていなかったようです。

① 2013
オープニングは今年をタイトルにしたナンバー。ロキシー・ミュージックのアンディ・マッケイが吹いてるようなサックスが印象的な9分にも及ぶナンバー。


② River of Pain
③ Culturecide
④ Hit Void
妖しげなサウンドがじわじわと盛り上がってくる②は、ネオ・サイケ風ナンバー。ポスト・ロック風のスペイシーなサウンドが、リズムのメリハリもある力強さを感じるナンバー。オルタナな雰囲気満載の④は、テンポは良いがカオティックなサウンドが耳に残ります。
http://www.youtube.com/watch?v=O5pRjUT8e4M

⑤ Tenement Kid
⑥ Invisible City
⑤もスローなエレクトリック・ブルーズ風ナンバー。こちらも緊張感漂う混沌としたサイケなサウンド。軽妙なテクノ・ビートに乗せて、オーソドックスなロック・ナンバーを歌いますが、ヴォーカルの妖しさが一筋縄では行きません。
http://www.youtube.com/watch?v=z1-EhPniUAM

⑦ Goodbye Johnny
こちらもテクノ・リズムに乗せて、ゆったりと妖しく迫ってくるサイケ調ナンバー。これもある意味彼ららしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=39nmYWrkuRI

⑧ Sideman
⑨ Elimination Blues
⑩ Turn Each Other Inside Out
激しいビートの⑧は、インダストリアル系の騒々しさで突き進んで来ます。クレジットによるとロバート・プランドが参加しているらしい⑨は、妖しげな不思議な雰囲気。「Black Dog」の「アー、アー、アー、アー」を拡張したような曲。⑩は一転、早いテンポの軽快なリズムで突っ走るニューウェイヴ風ナンバー。

⑪ Relativity
⑫ Walking with the Beast
⑬ It,s Alright, It,s OK
⑪はスロー・ダウンした穏やかなナンバー。ベース・ラインがなんとも言えぬ安定感を感じます。ギターのみをバックにギレスピーはじっくりと歌うナンバー。ラストはスティーヴン・スティルスを思い出すような爽やかなアコースティック・ナンバー。ラスト3曲は実に穏やかです。
http://www.youtube.com/watch?v=Ty-IJ3qz-GE


良くできたアルバムで、ベテランの味が良く出てると思います。サウンド形態が絞り込みできないところも彼ららしいし。彼らはこういうバンドなんだと、全てを受け入れて聴けば良いのかも知れません。