今やUKを代表すると言ってもいい位のベテランとなったオーシャン・カラー・シーン(以下、OCS)。新作を出して、フジロック・フェスにも来た10年以来となる久々のニュー・アルバムが発表されていました。

私は、タワーレコードやHMVのサイトとか、音楽雑誌から新譜情報を得ているのですが、このバンド、渋過ぎるのかなぁ~、新譜ニュースも取り上げられもせず、先月気付いたら1か月程前に発表されていたとのことでした。

そんなわけで遅ればせながらご紹介したいと思います。OCS、10枚目のスタジオ・アルバムです。

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Painting / Ocean Colour Scene

13年発表

このバンド、前作までは5人組だったはずですが、今回は、ジャケットをみておわかりの通り3人になってます。ヴォーカルのサイモン・ファウラーに、ポール・ウェラーのバンドとかけ持ちのギタリスト、スティーヴ・クラドック、そして黒人ドラマーのオスカー・ハリスンです。ベーシストのダン・シーリーらの名前は、何故かクレジットされておりません。

96年の2ndアルバム「Moseley Shoals」でブレイクを果たし後、コンスタントに作品を発表し続けてきたOCS。熱狂的な商業的成功を収めるようなことはありませんでしたが、音楽に対する真摯な姿勢が好感を持たれ、根強い人気を誇るバンドです。

とにかくいまのUKで、最もUKらしさを感じるサウンドは、ビートルズ以降のUKロックに親しんで来た私には、なんか実家に帰って来たような安心感を感じます。メロディの節々、アレンジのそちらこちらに、UKらしさを感じ、初めて聴くナンバーであるという気がしない、親しみ深い作品が並ぶ、とっても嬉しいアルバムです。

① We Don,t Look in the Mirror
② Painting
オープニングの①は、ちょっと静かにゆっくりと始まる落ち着いたナンバー。懐かしさと荘厳さを感じるドラマティックなナンバーです。そして、ミドル・テンポでノリの良い②で、いよいよ本編開始といった感じ。モッズの雰囲気もある60年代中頃、スウィンギン・ロンドンを思い起こすナンバーです。


③ Goodbye Old Town
カントリー・ロック調のテンポの早い③は、ニック・ロウやブリンズレー・シュワルツなどのパブ・ロックを思い出させます。
http://www.youtube.com/watch?v=s5-0Ax4N_Tg

④ Doodle Book
アップ・テンポのタイトなリズムで、勢いよく突き進む④は、ポール・ウェラーの作品と言われたら、信じてしまいそうな雰囲気です。やはり、兄貴分のウェラーの影響は強く受けているのでしょうね。
http://www.youtube.com/watch?v=YX_Y8BNViyg

⑤ If God Made Everyone
⑥ Weekend
アコースティックなサウンドは印象的な⑤は、ブリティッシュ・トラッドを思い出させる一方、ムーディ・ブルーズなんかにも通ずる感じです。サイケでドリーミーなメロディが、とっても心地よい⑥では、メロトロンも使っているようです。
http://www.youtube.com/watch?v=YHfhSDDimTQ

⑦ Professor Perplexity
⑧ George,s Tower
⑨ I Don,t Want to Leave England
⑦もサイケ調のナンバーが続きます。この曲は効果音も含めて、ほんとに60年代後半を思わせるカオティックで、地の底から響いてくるエコーが効いてます。ピアノをバックにファウラーがしっとりと歌い上げる⑧は、1分20秒の小品。「イギリスから離れたくない」というタイトルに、彼らの決意を感じる⑨は、スケールの大きな感動巨編。

⑩ The Winning Side
⑪ Mistaken Identity
⑫ The Union
⑩はギターをバックに、ファウラーがじっくりと歌い上げるナンバー。⑪もゆったりとしたリズムにのせた、マイナー調のメロディが心に沁みる曲。陰りのあるサビの部分も印象的。重たく切り刻むギターのリズムに導かれる⑫も、とっても懐かしさを感じるメロディが輝いています。
http://www.youtube.com/watch?v=IaeDucGg-0s

⑬ The New Torch Song
⑭ Here Comes the Dawning Day
明るいアコースティック・ギターの音色で始まる⑬は、ウェスト・コースト・サウンドにも通ずるものがあります。ラスト・ナンバーは、アコギ一本をバックにファルラーが、またまたしっとりと歌う小品。心安らぐシンプルなフィナーレです。


OCSの一番の魅力は、やはり常に一定の質以上の作品を作ることのできる安定感でしょうか。UKロックの伝統をしっかりと伝承する真面目なバンド、ブレはありません。