富山へ帰って来てからというもの、レコード屋の試聴で新しいアーティストを発掘することができなくなりました。しかし、このネット時代、HMVなどのサイトで紹介されているアーティストを、YouTubeで見て実際の音に触れることができますから、その気になれば、家に居ながらにして、新しい音を探すことができるわけです。

本日ご紹介するこのケイナーンってアーティストもそんな中から見つけ出した人。実は年の初めにご紹介したディランのCD4枚組トリビュート・アルバムにも参加してて、「With God on Our Side」を歌っていたのですが、全く忘れておりました。

ソマリア出身で、現在はカナダで活動している黒人のラッパー。あまり得意なジャンルではないんですが、結構メロディがしっかりしていて、なんの抵抗もなく楽しむことができました。

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Country, God or the Girl / K'naan

12年発表

78年生まれの34歳。90年にソマリアの内戦激化によりニューヨークへ亡命。その後、カナダのトロントへ移住し、ユッスー・ンドゥールのアルバムにも参加したことがあるようです。21世紀に入ってからソロ・アーティストとして、カナダ国内で活躍。09年にはユニヴァーサルから世界デビューを果たします。10年には、彼の「Wavin' Flag」という曲が南アフリカのワールド・カップのテーマ曲に選ばれたりもしたそうです。(YouTubeで聞いてみましたが、あんまり聞いた記憶はありませんでしたが。)

一応、ラップや、ヒップホップの部類に属するし、サウンドもそんな感じではあるんですが、結構歌心のあるシンガーで、アレンジも80年代風の肌触りがあり、ちょっと懐かしさを感じる洋楽っぽさもあって、私の耳にはなんかとっても馴染み深いサウンドでした。

また有名アーティストとのコラボもさかんで、これまで、メアリー・J・ブライジや、シンプル・プランのアルバムに参加したりしていましたが、このアルバムでもU2のボーノをフィーチャリングした曲も収録されています。他にキース・リチャーズやブラック・アイド・ピーズのウィル・アイ・アムも参加しているというニュースもありましたが、クレジットにははっきりと書いてないので、定かではありません。

① The Seed
 冒頭のつまびくようなギターから、煽動的なリズムが印象的なオープニング・ナンバーの①は、マイナー調のメロディが、ロックぽさを感じます。
http://www.youtube.com/watch?v=3G7lef6yLcs

② Gold in Timbuktu
 ピアノをフィーチャーした冒頭のバラード調の部分は、実にソフトな感じで癒されます。ラップぽくなる主旋律部分もしっとりといい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=bqwnFa36DVg

③ Waiting Is a Drug
④ Better
⑤ Simple
 これまたピアノをフィーチャーしたポップな曲調の③は、彼の非凡なソングライティング力見せつけます。④は、ファンキーでメリハリのあるリズム感と、サビのメロディが印象的。アフロ風リズムが全体を支配する⑤は、プログレッシヴ・ロックのような雰囲気を醸してます、

⑥ Is Anybody Out There?
 ポルトガル系のカナダ人女性シンガー、ネリー・ファータドをフィーチャーした、ポップなナンバー。冒頭のキャッチーなメロディは一度聞いたら忘れないですね。
http://www.youtube.com/watch?v=nevOsRGqL2c

⑦ Hurt Me Tomorrow
 これまたピアノをフィーチャーした⑦は、歌心あふれるナンバー。じっくりと歌い上げる冒頭やサビのパートは感動的です。わかりやすいメロディは70年代の洋楽っぽさを感じます。シングル・カットされています。


⑧ The Sound of My Breaking Heart
⑨ Nothing to Lose
⑩ 70 Excuses
⑪ Bulletproof Pride
 ⑧はなんか突き抜けたような開放感を感じるこれまたポップなナンバー。⑨は90年代から活躍しているUSのヒップホップ・アーティスト、ナズをフィーチャー。2人の掛け合いが聴きどころ。ミニマムな感じの⑩では、10ccみたいなコーラスをフィーチャーした静かで穏やかなナンバー。そして、我らがボーノが参加した⑪も、良くできたメロディの曲。ラス前にふさわしい盛り上がりを見せます。
http://www.youtube.com/watch?v=ODijouMV_fE&feature=related

⑫ The Wall
 ラストの⑫は、アフロ・リズムを取り入れて、明るく弾むような感じでアルバムの幕を閉じます。


これまで全く知らなかったアーティストなんですが、とっても親しみやすいメロディとサウンドで、思わず最近のヘビロテにさせていただいてます。
懐かしいけど新しい、今の時代を感じさせてくれる良質の音楽です。