昨日のR.E.M.に続きまして、80年代関係が続きます。UKはマンチェスター出身のシンプリー・レッドのヴォーカリスト、ミック・ハックネルが、ソロ名義では2枚目となる新作を発表しました。

そもそも、シンプリー・レッドはバンドの形態をとっていたものの、実質的には
ハックネルのソロ・プロジェクトみたいなもんでしたから、ソロ・アルバムというのも、おかしな話なんですが、08年に発表された1stソロは、ボビー・ブランドのトリビュート・アルバムでした。そして、今回も、そのタイトル通り、USのソウル等の名曲をカバーした作品でした。

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American Soul / Mick Hucknall

12年発表

ジャケットも、LPレコードの跡がジャケットについたような、丸いシミのような輪っかがあるところがいいですね。

85年にデビューしたシンプリー・レッドは、ソウル・ナンバーをカバーしてヒットさせるなど、白人ながらソウルフルなバンドとして、高い人気を博しました。「Holding Back the Years」や「If You Don't Know Me by Now」(フィリー・ソウルのハロルド・メルヴィン&ザ・ブルー・ノーツの72年のヒット)などを80年代にヒットさせました。

その後も、地道に活動を続けていたのですが、10年のツアーを最後に正式に解散してしまったようです。そんなわけで、今回のアルバムはシンプリー・レッド解散後、初のアルバムとなるようです。

最近、鳴りをひそめていました「カヴァーズ&トリビューツ」の書庫のために発表してくれたようなアルバムです。ジャケットのブックレットの中にもオリジナルのシングルの写真が掲載されており、それぞれの曲への深いリスペクトが感じられます。

① That,s How Strong My Love Is
 オープニングは、サザン・ソウルの名曲にストリングスを導入し、80年代風サウンドにアレンジしています。オリジナルはO.V.ライトの64年のシングルですが、オーティス・レディングが65年にカヴァーしたものも有名。ストーンズも初期にカヴァーしています。
http://www.youtube.com/watch?v=9WzCTcDbyrA&feature=related

② Turn Back the Hands of Time
③ I,d Rather Go Blind
 タイロン・デイヴィスが70年にヒットさせた②は、テンポに良いポップなナンバー。③はブルーズの女王、エタ・ジェイムスが68年に録音したナンバーで、多くのミュージシャンが取り上げています。ハックネルのヴァージョンも胸にグット来る仕上がりで、このアルバムのベスト・トラックだと思います。


④ Lonely Avenue
⑤ I Only Have Eyes for You
 ④はレイ・チャールズ、56年のヒット曲。これも多くのアーティストがカヴァーしているようです。⑤は30年代のポピュラー・ソングで、50年代にドゥー・ワップ・グループのザ・フラミンゴスがカヴァーしています。ここでのハックネルの熱唱も素晴らしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=0FslUsvV25s&feature=relmfu

⑥ Tell It Like It Is
⑦ Baby What You Want Me to Do
⑧ The Girl That Radiates That Charm
 ⑥はネヴィル・ブラザーズでもお馴染みのアーロン・ネヴィル、67年のヒット曲。甘いネヴィルのヴォーカルを彷彿とさせます。⑦はブルーズ・シンガー、ジミー・リードの59年のヒット。ノリのいいリズミカルなナンバー。ビートルズがカヴァーした「Anna」の作者としてロック界では知られているアーサー・アレクサンダーの60年のシングルB面曲。リズムやリフが印象的なナンバー。

⑨ Let Me Down Easy
⑩ Don,t Let Me Be Misunderstood
 ⑨は女性ソウル・シンガー、ベティ・ラヴェットの65年のナンバー。グルーヴ感溢れるパワフルなナンバー。そして、ジ・アニマルズのというか、サンタ・エスメラルダのというか、尾藤イサオのというか、とにかく日本でも有名なこの曲もカヴァー。日本では「悲しき願い」という邦題で知られてますね。オリジナルがニーナ・シモンだと、今日初めて知りました。
http://www.youtube.com/watch?v=xhsddB_suco&feature=related

⑪ It,s Impossible
 ⑪はペリー・コモでお馴染みのポピュラー・ソング。作者はメキシコ人のアーマンド・マンザネロという人だそうです。これもしっとりと心に迫ってくる仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=wO6I4cYZ0rM&feature=relmfu

⑫ Hope There,s Someone
 そして、過去の名曲の数々で占められたこのアルバムのラストは、なんとUKの若手バンド、アントニー&ザ・ジョンソンズの05年のナンバーを持ってきております。あっと驚く選曲ですが、違和感なく聴けるところが凄いですね。


アーティストの名前はほとんど知ってましたが、曲そのものを知ってるのは、私の場合ほんの数曲でした。結構、いいところから選曲してるんだなぁと思います。こういうアルバムを聴いてると、音楽って本当にいいもんだぁと思います。素敵なアルバムを届けてくれました。