2000年から遡って参りましたこの「ロック・クロニクル」のコーナー。遂に、この年までやって参りました。UKにおいてザ・ビートルズがブレイクを果たした年です。私にとって、ビートルズはロックの全ての基本でありますので、彼らがブレイクし、初めてのアルバムを発表したこの年は、この「ロック・クロニクル」の出発点とすべき年と考えております。
従いまして、各年を一つ一つ遡るのはここで止めたい思います。2年にわたる長い道のりでしたが、ほんと楽しい作業でした。
さて、その1963年ですが、私の故郷、北陸地方で豪雪がありました。(サンパチ豪雪と呼ばれてます。)当時3歳になる私、おぼろげながら記憶がありますし、家の2階あたりまで積もった雪の上で撮った写真もありました。
国内政治は、池田内閣の頃で、10月に衆議院解散、11月が総選挙が行なわれております。アメリカでは、マーチン・ルーサー・キング牧師らによる人種差別撤廃を求めるワシントン大行進が行なわれました。この時、「I Have a Dream」の演説が行なわれてます。また、ケネディ暗殺という、ショッキングなニュースもありました。このニュースは、初の日米間衛生中継実験で伝えられました。
福岡県の5つの市が合併して、北九州市が誕生し、政令指定都市に指定されてます。伊藤博文の新千円札登場もこの年です。当時の自分と同じ位の歳の子が誘拐された、吉展ちゃん誘拐事件も起こり、印象に残ってます。
インフラ関係では、富山県に黒部川第四発電所が完成。日本初の高速道路も名神高速の栗東・尼崎間で開通しています。
スポーツでは、プロレスラーの力道山が刺されるという事件もありました。プロ野球日本シリーズは、巨人が西鉄を破り2年ぶりの日本一を奪還しています。
映画では、「史上最大の作戦」「アラビアのロレンス」「大脱走」などが国内で人気を集めました。テレビ・アニメ「鉄腕アトム」が放映開始されたのもこの年でした。
歌謡曲では、三波春夫の「東京五輪音頭」、坂本九の「見上げてごらん夜の星を」などがヒット。レコード大賞は梓みちよの「こんにちは赤ちゃん」が、同新人賞は舟木一夫と三沢あけみが、受賞しています。
USに目を向けると、ビルボード年間チャートのトップはジミー・ギルマー&ザ・ファイアーボールズの「Sugar Shack」が獲得。第6回グラミー賞は、最優秀レコードおよび最優秀楽曲がヘンリー・マンシーニの「Days of Wine And Roses」に、最優秀アルバムがバーバラ・ストライサンドの「The Barbra Streisand Album」に、そして最優秀新人がワード・スウィングルに、それぞれ贈られてます。ビートルズ来襲前夜のアメリカです。
そんな63年に発表されたアルバムを、わずかながら紹介して行きましょう。
Please Please Me / The Beatles (63年発表)
(記事はこちら)
さて、まずは、冒頭でもふれましたザ・ビートルズのデビュー・アルバムです。この年1月に、アルバム・タイトル曲がシングル・リリースされ、2月にはNME誌やメロディー・メイカー誌でチャートのトップを獲得。その勢いで3月に、このアルバムが発表されました。
既発のシングルAB面4曲を含むオリジナル・ナンバー8曲と、カバー曲6曲の構成。実質的なレコーディングは1日のみ、9時間45分で終了しました。ほとんどスタジオ・ライヴ的な録り方、その分レアな衝動がそのままパックされています。
最後に収録された「Twist And Shout」では、ジョン・レノンの声がガラガラになってます。それがまた魅力とも言えますが。
5月にはアルバム・チャートのトップに立ち、リバプールのビートルズが、UKのビートルズとなった記念すべきアルバムです。
それでは、その記念すべきアルバムの冒頭を飾った「I Saw Her Standing There」をご覧下さい。
Surfin' U.S.A. / The Beach Boys (63年発表)
UKでビートルズ人気が盛り上っている一方で、USではザ・ビーチ・ボーイズの人気に火がつきました。前年にシングルおよびアルバムを発表してましたが、いずれもトップ10には至りませんでした。
しかし、チャック・ベリーの「Sweet Little Sixteen」のメロディを拝借した、この2ndアルバムのタイトル曲が、シングル・チャートの3位にまで上がりついにブレイク。以降、USを代表するバンドとして、高い評価を得ます。
サーフィンと青い海に象徴されるカリフォルニアのさわやかな風を、そのままパックしたようなサウンドで人気を集めました。
中には、当時流行のエレキ・インストゥルメンタルも収録されていますし、彼らならではのコーラスをフィーチャーしたナンバーも収録され、彼らのこれまたコアな魅力が楽しめるアルバムです。
それでは、そのアルバム・タイトル曲、「Surfin, U.S.A.」をご覧下さい。
この他、この年発表されたアルバムでは、私が音源を保有しているものは。。。
遂に3大アーティストのみとなってしまいました。
The Freesheelin' Bob Dylan / Bob Dylan (63年発表)
(21世紀のロックアルバム#41)
そして、この年ラストは、もう1人の大物、ボブ・ディランの、これまた大ブレイクを果たした2ndアルバムです。ディランも前年にデビューしていますが、ソングライターが売り物の彼にしては、オリジナル曲が2曲しかなく、こちらを彼の実質的1stアルバムと捉えている方も多いようです。
当然、この頃はフォーク・シンガーということでありましたから、サウンドはアコースティック・ギターのみの弾き語り。間奏でハーモニカを使うといった感じです。
出生作「Blowin' in the Wind」をはじめ、今でもライヴで取り上げられる曲も数多く収録されています。「Masters of War」に代表されるプロテスト・ソングもあり、怒れる若者として彼の名を高めた作品集です。
ニューポート・フォーク・フェスティヴァルに初めて参加したのもこの年。やはり、ディランにとってもこの年がスタートの年であったようです。
それでは、このアルバムから「Don,t Think Twice, It,s All Right」をお聴き下さい。
さて、このコーナー、あともう1回だけやらせていただき、次回を最終回とさせていただきます。