70年代アルバム・ランキングもなんとか仕上げることができ、いよいよこのコーナー、最後の60年代に入って参ります。今回は1969年。コシ少年、小学3年生の年であります。
この年はなんと言っても、アポロ11号が人類初の月面有人着陸を果たしたことが最大のニュースでした。月面に人類が降り立った瞬間、子ども心に凄いことが起こってるなぁという、なんとも言えない感慨でありました。
国内政治では、佐藤首相が訪米し沖縄返還合意を取り付けたのがこの年。その後、衆議院を解散し、暮れには総選挙。小沢一郎、森喜朗、浜田幸一、渡部恒三、羽田孜、綿貫民輔、土井たか子、不破哲三らが初当選した選挙でした。日本のGNPが西ドイツを抜いて世界2位になったのも、右肩上がりの時代を象徴する出来事でした。
社会面のニュースとしては、金沢市の市街地に自衛隊戦闘機墜落するというニュースもありました(墜落したのは、私の校下内でした。学校の窓から落ちるのが見えました。クラスは違いましたが、同級生のお母さんがこの事故で亡くなりました)。
この年の初モノとしては、日本初の原子力船「むつ」の進水式、東名高速道路の全線開通、NHKのFM本放送開始などがありました。商品としては、セブンスターの新発売、日産自動車の「フェアレディZ」新発売もありました。テレビでは、「水戸黄門」「8時だよ全員集合」「サザエさん」が放送を開始しています。
プロ野球では、八百長疑惑の黒い霧事件が発生。西鉄の永易投手などが永久追放処分されました。巨人の金田正一投手が400勝達成。日本シリーズは、巨人が阪急を破りV5を達成。
映画ではニュー・シネマの全盛期。「明日に向って撃て!」「真夜中のカーボーイ」「イージー・ライダー」などが公開されています。
歌謡曲の世界では、由紀さおりの「夜明けのスキャット」、森進一「港町ブルース」、いしだあゆみの「ブルーライト・ヨコハマ」がヒット。日本レコード大賞は佐良直美の「いいじゃないの幸せならば」、最優秀新人賞はピーターが受賞。
US音楽界では、なんと言っても、8月15~17日の3日間開催されたウッドストック・フェスティバルが、話題をさらいました。
ビルボートの年間チャートのトップに立ったのは、ジ・アーチーズの「Sugar, Sugar」という曲。第12回グラミー賞は、最優秀レコードはミュージカル「ヘアー」の主題歌、フィフス・ディメンションの「Aquarius/Let the Sunshine In」に、最優秀アルバムはブラッド・スウェット&ティアーズの2ndアルバムに、最優秀楽曲はジョー・サウスの「Games People Play」に、そして最優秀新人はクロスビー・スティルス&ナッシュに、それぞれ贈られております。
そんな1969年に発表されたアルバムをご紹介して参りましょう。
In the Court of the Crimson King / King Crimson (69年発表)
(20世紀のロックアルバム#21)
とにかくこのジャケットのインパクトは大きかったですねぇ。ロックを聴き始めて、まだ中身も良く知らなかった頃、雑誌やレコード店でアルバム・ジャケットを見て、どんな音楽がこの中に詰まってるんだろうと心ときめかしていた頃、特にこのジャケットには、怖いもの見たさ(聴きたさ)で強い興味を持ちました。
そして、初めてこのアルバムのサウンドを聴いた時、破壊的なイントロと、ファズがかかりまくったグレッグ・レイクのヴォーカルを聴いて、かなりの後追いで聴いたにも関わらず、脳天に一撃を喰らいました。
ジャズにも通ずる緊張感溢れるインプロヴィゼイションや、メロトロンを駆使した叙情的なサウンドなど、これこそが本当の「プログレッシヴ」なロックであるなぁと納得させられたキング・クリムゾンの1枚でした。
それでは、オープニング・ナンバー「21st Century Schizoid Man」のハイド・パークでの映像を短いですがご覧下さい。
Led Zeppelin (1st) (69年発表)
(20世紀のロックアルバム#20)
続いては、ニュー・ヤードバーズ改め、レッド・ツェッペリンのデビュー・アルバムです。ヤードバーズ、最後のギタリスト、ジミー・ペイジが、無名のヴォーカリストロバート・プラントとドラマージョン・ボーナムを起用して、大勝負をかけたバンド。今でも、ハードロック、ヘヴィ・ロックの最高峰バンドとしての地位は揺るぎありません。
このアルバムのオープニングも、脳天に一撃を喰らわされた二連打でした。キャッチーなハード・ロックと、コテコテのブルーズ・ナンバー、時折インド趣味があったり、トラッドな雰囲気があったり、この時期UKで流行っていたサウンドを、全てぶっこんだみたいなヴァラティの幅広さと、2人の新人の迫力溢れるサウンド。
後追いで聴いても衝撃度抜群の作品でした。
それでは、この中から、「Communication Breakdown」をご覧下さい。