2000年から遡って来ましたこのコーナー、70年代も残りわずかになって参りました。今晩は1973年。私はこの年、中学へ入学。そして、ザ・ビートルズを本格的に聴き始めた年になります。

国内では、田中角栄首相が就任して2年目を迎えますが、既に支持率は30%を切っていたようです。国際政治では、アメリカ軍がベトナムから撤退したのが大きなニュースでしょうか。第4次中東戦争が勃発し、第1次オイルショックが起こります。為替レートは1$=308円の固定相場制から、現在の変動相場制に移行しています。

社会面では、振り替え休日制度が開始されたのがこの年。赤ちゃんをコインロッカーに捨てる事件が多発し、「コインロッカーベイビー」という言葉が生まれました。渋谷にPARCOが開店し、これをきっかけに、若者の街が新宿から渋谷へ変わって行くきっかけとなりました。江崎玲於奈氏がノーベル物理学賞を受賞しています。

スポーツ界では、輪島が初の学生相撲出身の横綱となっています。巨人が日本シリーズで南海を下しV9達成。ヤクルトはチーム名をアトムズから、国鉄時代のスワローズに変更。

映画では「スティング」「ジャッカルの日」「燃えよドラゴン」がヒット。歌謡界では、桜田淳子・山口百恵・浅田美代子・キャンディーズ(追悼スーちゃん)らがデビュー。ぴんからトリオの「女のみち」、ガロの「学生街の喫茶店」、沢田研二の「危険なふたり」、かぐや姫の「神田川」がヒットしました。レコード大賞は五木ひろしの「夜空」が、最優秀新人は桜田淳子が受賞しています。

USでは、「Tie a Yellow Ribbon 'Round the Ole Oak Tree(幸福の黄色いリボン)」が年間チャートのNo.1に。グラミー賞では、「Killing Me Softly with His Song(やさしく歌って)」が最優秀レコードと最優秀楽曲を、「Innervisions」が最優秀アルバムを、ベット・ミドラーが最優秀新人を、それぞれ受賞しています。


そんな73年に発表されたアルバムを紹介して参りましょう。

The Dark Side of the Moon / Pink Floyd (73年発表)

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20世紀ロックアルバム#43
まずは、その後15年(741週)に亘ってビルボードのアルバム・チャートにランクインするという、ピンク・フロイドのモンスター・アルバムです。
プログレッシヴ・ロックというか、ロック全体でも名盤中の名盤と評価されているこのアルバム。狂気の世界へ行ってしまったシド・バレットの事を思いながら、現代社会への批判を込め、様々なサウンド・エフェクトを駆使したコンセプト・アルバム(トータル・アルバム)となっています。
インスト・ナンバーも多いのですが、核となる曲の出来も素晴らしく、心打つものが多いですね。
当時としては、音が非常に良いアルバムということでも評価が高く、オーディオ・マニアの間でも必須アイテムであったようです。

それではこの中から、レジスターの音で始まる「Money」をお聴き下さい。



New York Dolls (1st) (73年発表)

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高尚なピンク・フロイドに続くは、下世話なニュー・ヨーク・ドールズの登場です。ストーンズっぽいロックン・ロールを聴かせるUSバンドと言えば、これまたこの年デビューしているエアロスミスが今では有名ですが、当時はこちらドールズの方が人気が高かったですね。
デヴィッド・ヨハンセンのヴォーカルは、発音の仕方も含めてミック・ジャガーみたいな感じでしたし、その後パンク・ロック・シーンでも活躍するジョニー・サンダースの存在も大きかったですね。
出で立ちも、当時、UKで流行っていたグラム・ロックの雰囲気もあり、まさに時代の申し子みたいな感じでした。サウンドは実にシンプルで、かつスピード感のあるロックン・ロールで、実に格好いいです。

それでは、アルバム・オープニング・ナンバー、「Personality Crisis」をご覧下さい。