このブログへお越しいただいてる多くの方にとって、わけのわからんバンドばっかり出てくるなと、苦々しく思ってらっしゃるであろう「21世紀のロック・アルバム」のコーナー。00年代の名盤を、いろいろご紹介させていただいておりますが、今日はみなさんお馴染みのジイさん方に登場してもらいましょう!
映画「Shine a Light」の評判も高く、いまだに世界最高のロック・バンドの位置に君臨し続ける、ロック界の歩く歴史、ザ・ローリング・ストーンズの登場。スタジオ・オリジナル・アルバムとしては、現時点での最新作であり、唯一の21世紀の作品。00年代では間違いなく唯一の作品となると思われますし、もしかしたら彼らのラスト・アルバムになるのかと心配にもなってくる作品をピックアップいたしました。
80年代に入ってから極端に新作リリースのペースが落ちてしまい、80年代は5枚、90年代は2枚、そして00年代は1枚という感じになってしまいました。(ライヴはいろいろ出てるんですけどねぇ。)さらに、81年の「Tatoo You」以降の新作は、待ちに待ったストーンズのアルバムといった期待とは裏腹に、決して悪いわけではないのだけれど、手放しで最高!と叫べるものでもなく、まあ、ストーンズはこんな感じで淡々と続けていくんだろうなぁ。。。ってな感じになってました。
そんなわけで、97年の「Bridges to Babylon」以来8年ぶりとなったこのアルバム、正直それほど期待してはいなかったのですが、まあストーンズの新作が久々に聴けるわいと、それなりに楽しみにしておりました。ところが、聴いてみてビックリ、音が凄くタイトになり、若返った感じがしましたね。曲も70年代前半の絶頂期を彷彿とさせる曲が多く、「Tatto You」以来、久々に、ホンマモンのストーンズの新作を聴いたって印象でした。
ちょっと、ひねくれた見方をすると、ストーンズが過去の自分達をセルフ・コピーしているといった、非現実感もなきにしもあらずでしたが、00年代のUKでのロックン・ロール・リヴァイバルにも刺激を受けてのことなのかも知れません。
まだ、このアルバム録音時はロン・ウッドの調子が悪かったようで、そのためキース・リチャーズはミック・ジャガーの部屋に泊まりこんで新曲を作ったなんてエピソードが紹介されてました。これまでもクレジット上はジャガー&リチャーズとなってましたが、実際はレノン&マッカートニーと同様、別々に作っていたらしいのですが、このアルバムで2人は「よりを戻した」ような感じだったそうです。グリマー・トゥインズの復活って感じですね。
オープニング・ナンバーは、21世紀の「Brown Sugar」、「Rough Justice」。このアルバムから最初に聞いたのが、ラジオから流れてきたこの曲だったのですが、おお、これは期待できそうだ!と思いました。ロニーのスライド・ギターもいい感じです。チャリー・ワッツの40年一日のドラムもステディです。
「Let Me Down Slow」もややカントリー・フレイヴァーを持ったテンポの良いポップなナンバー。キャッチーなサビは「Out of Time」を思い出させます。ストーンズ独特のうねりをもったミディアム・テンポのロック・ナンバー「It Won,t Take Long」なんか、「Exile on Main Street」の頃の感触です。
ここらでクール・ダウンがてらに、ファンキーな「Rain Fall Down」が流れて来ます。こういった黒っぽい曲も彼らのアルバムには欠かせませんね。そして、これも定番、ミックがしっとりと歌うバラード・ナンバー、「Streets of Love」。シングル・カットもされました。
http://www.youtube.com/watch?v=XtqJ1tLTto0&feature=related
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このアルバム聴いて一番嬉しかったのが、初期の彼らを思い出させるブルーズ・ナンバー、「Back of My Hand」。ロニーは参加しておらず、オリジナル・メンバーの3人だけで録音されてます。「Let It Bleed」に収録されても全然違和感がない感じ。
http://www.youtube.com/watch?v=unowa39KkYA&feature=related
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「She Saw Me Coming」もミディアム・テンポのロック・ナンバー。これはミックのソロに入ってそうな雰囲気。テンポの良い、これまたカントリー・フレーヴァーに溢れる「Biggest Mistake」は、実に心地良い曲。
ストーンズのライヴでは、ちょうど中間あたりにキースがヴォーカルをとるコーナーがあります。USのライヴではトイレ休憩になるそうですが、このアルバムでも中盤にキースの歌う「This Place Is Empty」。スローな心に沁みる曲。キースの枯れたヴォーカルが最高です。
トイレ休憩も終わり(笑)、再度、ミック登場。後半のオープニングも「Oh No, Not You Again」で派手に決めてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=pZzNUZCxuqQ&feature=related
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貫禄満点のリフでキメる「Dangerous Beauty」、ミックのソウルフルなヴォーカルが印象的な「Laugh, I Nearly Died」、ブルージーな雰囲気でブッシュ政権に皮肉をかませる「Sweet Neo Con」と、曲調はみな違うのに、どれもがストーンズ節全開の曲が次々と繰り出されて来ます。
「Look What The Cat Dragged In」は、当アルバムの中では比較的新しい感覚を持ったサウンド。ハードなラップって感じもします。アルバム最後の盛り上がりを見せる「Driving Too Fast」も、いかにもストーンズらしいアップ・テンポの痛快ロック・ナンバー。リフも格好いい。
そしてラストは再びキース登場。「Infamy」は不思議な浮遊感を持った曲。ループ音みたいなサウンドがいい効果を生んでます。
発売当時は結構いいアルバムだなということで、良く聞いたのですが、その後あまり繰り返して聴くことはなかったため、今回久しぶりに聴いて、こんなにいい曲あったかなと新発見もありました。ただ、これCCCDなもんで、iPodに入れられないのが残念であります。
21世紀に入ってからたった1枚だけの作品ですが、自分達はちゃんとできるんだ!ってことを世界中のファンに知らしめた1枚だと思います。