2001年以降発表された名アルバムをご紹介しているコーナー、ここ最近04年に発表されたアルバムが3枚続きましたが、またまた04年のアルバムを取り上げさせていただきました。

ブリット・ポップ華やかなりし94年に、メンバー全員10代という若さでデビューしながら、コンスタントな活動を続けてきたアッシュ。デビュー当時は、カンフーやスター・ウォーズをテーマにしたいかにも、やんちゃな若者風のイメージでした。(後追いですが。)

今晩ご紹介する、デビューから10年を経たこの4thアルバム、ロック・バンドとして、十分な成長を果たし、貫禄すら感じさせる作品を作り上げました。彼らのソング・ライティング力が頂点に達した、彼らの最高傑作だと、私は思っております。

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Meltdown / Ash

04年発表

もともとは、ギター&ヴォーカルで、ソング・ライティングを担当していたティム・ウィーラーを中心とした3人組バンドでしたが、2ndアルバム以降、女性ギタリスト、シャーロット・ハザレイが加入し、音的な厚みを増し、一時ややトーン・ダウンした感じはあったものの、01年の3rdアルバムで4人としてのバンド・サウンドを確立し、それをさらに推し進めたものとして確立したのが、このアルバムでした。

当時のUKロック・バンドの中では、かなり素直なソング・ライティングをするグループで、私はリアルタイムのロックを聴くようになった97年以降、注目してきたバンドであったのですが、ほんとに彼らの実力がうまく作品まで昇華したなぁと思ったのがこのアルバムでした。前作がUKチャートでNo.1を獲得したことを考えると、セールス的にはイマイチ(それでもアルバム・チャート5位獲得)の面がありましたが、やんちゃ坊主達の成長を感じた、心に残る作品です。

アルバム・タイトル曲「Meltdown」における、ノリのいいサウンドはこのアルバムで展開される世界の期待感をグッと感じさせる名曲です。05年のグラストンベリーでのライヴです。
http://www.youtube.com/watch?v=53UB-FEwMuc

性急で破壊的なサウンドで幕を開ける「Orpheus」は、当時のライヴでもかなり盛り上がったようです。サビのメロディはさすが。「Evil Eye」の中盤からのノリとメロディの良さは思わず、耳が惹かれます。まだまだハードなサウンドが続きます。「Clones」の破壊的なサウンドは70年代のハードロック・バンドのサウンドに肉薄する勢いがあります。そして、当アルバムのハイライト、最高のロック・バラード・ソング、「Starcrossed」は、彼らの成長を強く感じました。イントロやサビでの盛り上がり、この時代では味わえない懐かしさを感じます。TVでのライヴ映像でお楽しみ下さい。


アナログで言えば、ここまでがA面で、ここからがB面って感じのワクワクするようなイントロが印象的な「Out of the Blue」。疾走感溢れるポップなロック・ナンバーは、彼らの真骨頂。
http://www.youtube.com/watch?v=gV0C7b70jbE

シングル・カットもされた「Renegade Cavalcade」は、ややクール・ダウンしたようなイントロではありますが、サビに向けての盛り上がりと音の厚みは素晴らしいものがあると思います。PVでどうぞ。
http://www.youtube.com/watch?v=sVFWqfFoYms

続く「Detnonator」のハード・ロック風の緊張感も良いですね。「On a Wire」も、カオスを感じる疾走感じゅうぶんの曲。アルバムの後半に来てのポップなロック・ナンバー、「Won,t Be Saved」は、捨て曲なしのこのアルバムの中でも一際光る曲。
http://www.youtube.com/watch?v=Qq2NpIVE1k4&feature=related

アルバム・ラスト・ナンバー、「Vampire Love」はミドル・テンポの曲ながら、サビのメロディの良さ、音の厚みの盛り上がりは、オールド・ロック・ファンにも十分に訴えるものがありました。


アルバム・ジャケットは、何やら不死鳥のように甦った感じがありますが、このアッシュというバンドの力強さを象徴していたように、今、思うと感じます。女性ギタリスト、ハザレイはこのアルバムを最後に脱退し、デビュー時と同じ3人組バンドに戻ってしまいましたが、4人組アッシュの素晴らしさを、まざまざと見せ付けてくれた名盤だと思います。

ブリット・ポップが隆盛を極めた94年頃というのは、私、洋楽を全く聴いていなかった時期で、オアシスもブラーも後追いでした。そして、彼らのサウンドは、後追いで聴いた90年代後半当時、イマイチ馴染めない雰囲気があったのですが、このアッシュはそんな私でも、かなりすんなりと入ることができました。それがさらに、歩み寄ってくれたのが、このアルバムでした。私のようなオールド・ロック・ファンも十分に楽しむことのできる一枚だと思います。