シュッ! 昨年暮れに実施しました「ファンが選ぶ20世紀のロック・アルバム」にて、複数票を獲得したアルバムを年初来記事にしてまいりましたが(1つだけ1票のみのアルバムあり)、遂に、2006年投票の複数票獲得アルバムは本日で最後になります。

シュッ! 他の方のブログでのコメントや、自分の記事の中でも、何度も触れてきましたが、私が中1の6月(まだ12才です)、初めて買ったLPレコードを取り上げたいと思います。

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Abbey Road / The Beatles

当ブログ・ファン投票  第3位
英米の評論家ランキング 第13位(87年)、第9位(77年)
69年発表

シュッ! 既にビートルズは解散していて、赤盤・青盤が発売された頃、友人の多くはラスト・アルバムとなった「Let It Be」を持っていたので、も一つ前のアルバムを買おうということで買った次第。どのアルバムがどうでとか、日本盤、アメリカ盤、UK盤の区別も全くわからなかった頃、アメリカ盤「Something New」とどちらを買おうか迷った挙句の決断でした。たぶん「Something」を聴きたかったからだと思います。(勿論、後者には「Something」は入っていません。)

シュッ! 後追いでビートルズの歴史を紐解くと、実はこのアルバム、実質的なビートルズのラスト・アルバムだったわけです。アンソロジーのビデオなんか観てると、みんなこれが最後だという雰囲気があって、いわゆる渾身のアルバム、当時は「Sgt. Peppers Lonely Hearts Club Band」を上回る作品ができた!って位に評価されたアルバムだったうようです。B面のメドレーが素晴らしいって評価も良く聞きますが、完成できなかった曲を無理やり繋げたって感じの方が強いです。全盛期なら、これらが全て完璧な曲としてアルバムを彩ってたはずなのになぁと今でも感じでしまいます。いずれにしても、ビートルズのスワン・ソング的なアルバム、美しいです。

冒頭は、ジョン・レノンのシュッ!とポール・マッカートニーのベースがおどろおどろしい「Come Together」でスタート。これはもう、プラステイック・オノ・バンドの曲で発表した方が相応しかったかも知れない、この時期のジョンの個性を存分に発揮した曲。チャック・ベリーの「You Can't Catch Me」のパクリとも言われた曲。

続いて、ジョージ・ハリソンのソング・ライターとしての資質を世界中に知らしめた「Something」。素晴らしい曲です。東京勤務時、六本木の「Dominant」という生バンドをバックに歌を歌えるパブにたまに行っていたのですが、そこでいつも歌わせてもらっていました。最高に気持ち良かったです。PVは、メンバー各々が、連れと一緒に写ってて、プライベートに戻りバラバラになっていくビートルズの姿を象徴しています。アンソロジーから取ってきたものと思われます。


そして、ポールのボードヴィル調の曲「Maxwells Silver Hammer」、諧謔的な歌詞が面白かったです。映画「Let It Be」となったゲット・バック・セッションの時から作っていた曲。50回も「もうしません!」と黒板に書くのは酷であります。続いて、またしてもポールの12/8拍子黒っぽいナンバー「Oh! Darling」「For Sale」の「Baby's in Black」以来かなって感じのナンバー。こういうポールは大好きです。

リンゴ・スター単独名義(クレジットはリチャード・スターキー)2曲目にして最後となる「Octpuss Garden」は、カントリー調の爽やかな曲。青盤に唯一収録されたリンゴの曲。「I Want You (Shes So Heavy)」は、ビートルズ・ブルーズの傑作。実に重たいナンバー。エンディングで重たいアルペジオが最高潮に盛り上がってきたところで、突然カットされるのには、かなりビックリ。

このA面、ビートルズの中でもかなりの名曲、佳曲が揃ったサイドですが、B面は更なる盛り上がりを見せてくれます。

ジョージの「Here Comes the Sun」はアコスティックなサウンドに、シンセサイザーを乗せた、これまた名曲。カポタストを8フレットにはめて練習した人も多いはず。さらにジョン作の珠玉のナンバー「Because」の美しさに圧巻。コーラス・グループとしてのビートルズの素晴らしさを存分に見せつけてくれます。

さて、B面メドレーをどの曲から始まったとするか、いろいろな見方はありますが、最後でこの曲のフレーズが出てくることを考えると、ここからとするのが妥当かと思います。「You Never Give Me Your Money」は美しい旋律を持つうえに曲展開も激しく、ビートルズの最後を飾るに相応しい曲。一転、トロピカルな雰囲気満載のジョンの「Sun King」。夏に聴きたい一曲です。

こののどかな雰囲気を打ち破るように、ミディアム・テンポのジョンのロック・ナンバー「Mean Mr. Mustard」、金属的なアコギのストロークで入ってくる、これまたジョンの「Polythene Pam」、さらに畳み掛けるように入ってくる「She Came in through the Bathroom Window」。途中のギターのキラキラした感じが最高です。この3曲は、ホント、ちゃんとした形で世に出して欲しかったなっ!って感じです。

若干のブレイクをおいて、前作「White Album」のラストを飾った「Good Night」に匹敵するポールのおやすみソング「Golden Slumbers」は、スタンダード化されてもおかしくない名曲。さらに、これから元ビートルズという重荷を背負っていかなければならない自分達に向けての曲とも解釈できる「Carry That Weight」。中期の彼ら独特のメロディの曲。そして、正真正銘のラスト・ソング「The End」。ジョン、ポール、ジョージそれぞれのギター・ソロでラストを飾ります。最後の優雅なエンディングも最高です。

ジャケットに関しては、いろんなところで言われているので割愛しますが、EMIのアビー・ロード・スタジオの前の道で、ポール死亡説が流された原因となったことで有名。いろんなミュージシャン(ポール自身も含めて)が、パロってます。

それでは、最後に、ロバート・ジョンソンの「They're Red Hot」をお聴き下さい。
http://media.imeem.com/m/ZAmyEm6l9B/aus=false/
この曲を初めて聴いた時、「Her Majesty」をシークレット・トラックにした意味を理解しました。