全国のハードロック・ファンのみなさん、こんにちは。みなさん既にお聞き及びのことと思いますが、レッド・ツェッペリンがこの11月に1回だけの再結成ライヴを行うとのことです。なんでも、占いババに頼んで、ジョン・ボーナムを1日だけこの世に呼び戻してのライヴだそうです。(ウソです。)まあ、この手の再結成もんはあまりよろしくないと思ってるタチなのですが、これに味をしめて来日ライヴなんてことになったら、会社休んででも観に行くんだろうな。また、「永遠の詩」の完全盤発売、新ベストの発売と、この秋はZEPの秋となりそうな様相。これで、ペイジの老後も安泰か。

ということで、再結成を記念してというわけではありませんが、「20世紀のロック・アルバム」、ZEPも数多く紹介して参りましたが、複数票獲得では、いよいよ最後。ハードロックの名作中の名作と誉れも高い彼らの4thアルバムです。

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Untitled / Led Zeppelin (4th Album)

当ブログ・ファン投票  第36位
英米の評論家ランキング 第29位(77年)
71年発表

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通常「Led Zeppelin Ⅳ」と表記されていることが多いのですが、LPのアルバム・ジャケットのどこにもそのようなことは書かれておりません。唯一、4つのシンボル・マーク(右参照)が記載されているだけで、本当のタイトルはこれだということで「フォー・シンボルズ」と呼ばれたり、これは古代ケルトのルーン文字だということで「ルーン・アルバム」とも呼ばれることもあるそうです。しかし、この4つのシンボルはメンバーそれぞれを表すわすものとしてその後使われており、そういう意味では「ペイジ、ジョーンズ、ボーナム&プラント」というタイトルなのかも知れません。ま、良くわからないということでなのですが、こういう話題を提供してくれるのもこの時代のいいところだと思います。

さて、このアルバム、大ハードロック・アルバムのデビュー盤、2ndで、世間の度肝を抜いておきながら、3rdアルバムのB面で一転、CSNY張りのアコスティック・サウンドを披露し、ファンを混乱させた中で発表されました。そのサウンドは1~3枚目までを集大成し、さらに世紀の名曲を生むまでに昇華された見事なアルバムに仕上がり、これにハード・ロックの王者、ヘビィ・メタル(いわゆるヘビメタとは違う意味です)の帝王の地位を不動にしたものでした。私は、最初にこの次の「聖なる館」(私が聞いた当時の最新アルバム)を最初に聴いたため、手放しのZEPファンになるまで時間がかかりました。最初に、これ聴いてたら、今頃、海賊の海原を航海していたかも知れません。いずれにしても、ロック初心者にもわかりやすい名盤。これからロックを聴こうという人がいたら、これをお薦めしますね。

変な音がビョン~、ビョン~と流れた後、いきなりロバート・プラントの高音の叫び声が静寂をつんざき、3人の演奏で重厚なリフがなだれ込んで来る「Black Dog」は、まさにカタルシスを感じさせる爽快な一発をいきなり決めてくれます。続く「Rock And Roll」は、当時のライヴのオープニングにを飾ったノリノリの一発。バンドやってた人で、これやったことある人は多いと思います。

「The Battle of Evermore」は、次の曲を導くために、ちょっとスローダウンした感じ。アコスティック・サウンドですが、前作のカリフォルニア系の音というよりは、ブリティッシュ・トラッドの様相。元フェアポート・コンベンションの女性シンガーサンディ・デニーとのデュェット。続く「Stairway to Heaven」も、全曲同様アコスティック・ギターのバックに、メロトロンを乗せて、プラントが切々と歌う曲。途中からジミー・ペイジの弾くアコギがエレキに変わり、ジョン・ボーナムのドラムが入ってくると、スロー・テンポのロック・ソングとなり、ブレイク後、鐘の音のようなストロークで曲調が一転、ペイジの素晴らしいギター・ソロを挟んで、ハード・ロックによるクライマックス。ラストのプラントの嘆きにも聞こえる一声で幕。見事な構成の名曲です。

LPでは、ここでA面が終わり、この曲の余韻を楽しむことができるのですが、CDだと楽しむ間もなく、B面トップの「Misty Mountain Hop」の素っ頓狂なイントロが入ってくるので、ちょっと困りますね。とはいえ、ジョン・ポール・ジョーンズのエレピ(もしくはクラヴィネット)のリフは、ポップなR&Bの雰囲気があって、淡々としたリズムで高揚感があり好きな曲です。


「Four Sticks」は、不思議なリズム感をもった曲。3rdの「Friends」みたいなストリングスも入ってきて、サイケデリックな雰囲気です。「Going to California」は題名のとおり、前作のアコスティック路線を踏襲した曲。ライヴのアコスティック・セットの定番ですね。

ラストはブルーズの名曲を得意の「咀嚼」した「When the Levee Breaks」。オープニングのドラムがボンゾならではの重厚さ。リフが実に格好いいし、プラントのヴォーカルも冴えてます。元は戦前のデルタ・ブルーズの夫婦デュオカンサス・ジョー&メンフィス・ミニーが1927年のミシシッピー川の洪水をテーマに1929年に録音されたものだそうです。30秒しか聴けませんが、そのオリジナルをimeemで見つけました。
http://media.imeem.com/m/XjPl09VWPN/aus=false/
全然雰囲気が違います。こちらはZEP版。
http://media.imeem.com/m/eaOsLeW3dK/aus=false/
デビュー盤のブルーズの「咀嚼」はいかにもいかにものブルーズで、コピーの域を出ていなかったのですが、この曲はオリジナルと言われたら信じてしまう位、自分たちのサウンドに仕上げてます。LPの時は、メンバー全員のクレジットだったのですが、CDではちゃんとメンフィス・ミニーの名前クレジットされてました。いずれにしても、この名盤のエンディング・バージョンに相応しい強力な曲です。

以上のとおり、このアルバムはペイジが持ってる音楽性の全てを総括することができたアルバムだったと思います。これ以降、音はどんどん硬くなり、サウンドはどんどん実験的になる、いわゆる転換点に存在するアルバムだとも言えましょう。

ペイジの不思議の旅はまだまだ続きます。