「ファンが選ぶ20世紀のロックアルバム」で、複数票を獲得し、40位以内に入ったアルバムで、自分としては最も難関と思っていたのが、このアルバムでした。なにせ、B'zとこのバンドだけは、昨年暮れ時点でも良さがわからないバンドだったのです。ただ、一応、世の中の評価の高さもあり、21世紀になってから購入はしておりました。ただ、このアルバムの次作、♪わ~た~し~「Kid A」を先に聴いてしまっていて、「ナンジャコリャ」の感覚が残っていたこともあって、どうもダメでした。
実は別のアルバムを「Queen Ⅱ」の後、#36として紹介するつもりでいたのですが、ある方のブログでそのアルバムからの曲が最近アップされたものですから、ちょっと間を置こうと思ったわけです。で、この際、最大の難関に挑戦する戦うブロガーのイメージを打ち出そうと取り上げる決意をいたした訳です。
そんなわけで、ここ数日間、できる限り聴いてきたわけなのですが、あーた、割と良かったではないですか!駅前事変さんの言った通り、「♪あ~る日突然、二人変わ~るの~」ではなくて、突然いい!と思ってしまったわけです。んなもんで、勇気を持ってこの記事を書いてみたいと思います。このバンドについての背景・歴史・性格等、全くわかってないもんですから、トンチンカンなレヴューになるかも知れませんが、そこんところはご了承願います。
で、何が良かったかというと、このバンドのこのアルバム、ヴェルベット・アンダーグラウンドの1stアルバムにも通ずる魂を持ったアルバムだったことに、気付いたわけです。
ヴェルベッツ特有の、静かであり、かつ、淡々とした演奏・ヴォーカルを聴かせながら、その内に秘めたる物凄いパワーを隠しきれないって感じの音楽!! 少なくとも「Let Down」や「No Surprises」と言った曲は、タイムスリップを感じさせる位、グッと来る曲。2曲ともアルペジオの伴奏にのせて、メロディアスながら乾いた感じのする旋律が歌われます。
オープニングの「Airbag」に見られるヴォーカルとバックの浮遊感は、最高に心地良いものです。アコギで静かに始まりながら、エレキ・ギター・バンドの鋭い音に、徐々に切り替っていく「Paranoid Android」も素晴らしい。危機感溢れる演奏、ミニマル感ただよう演奏がグッ!
ディランの曲のタイトルを引っ張ってきたと思われる「Subterranean Homesick Alien」、エレピを基調とした美しいサウンドの後ろで鳴ってる歪んだギターのコントラストが絶妙。「Exit Music」はアコギをバックに歌う悲しげなメロディの曲。「Karma Police」はシンプルなバンド・サウンドによるミディアム・テンポのメロディアスな曲。このアルバム中、最もポップな曲。
モノローグによる「Fitter Happier」を挟んで、今度はこのアルバム中最もハードなロック・サウンドを聴かせる「Electioneering」。金属質なギターとトム・ヨークのヴォーカルが攻撃的。またまた、静かな世界へ「Climbing Up the Walls」が誘い、いよいよアルバムは終盤へ。
「Lucky」もヴェルベッツを思い出せるような密室で搾り出しているようヴォーカルがグッときます。ラスト「The Tourist」は、「音の旅人」となっていった、この後のトム・ヨークを象徴するかのようなタイトル。美しい曲です。
最初聴いた時は、何か冷たい感じがして、ビートも効いてなくて、メロディをろくに持ってない曲ばっかだなと思ったのですが、「Kid A」の印象を拭って、素直に聴いてみたら、結構良かったです。さすが、90年代を代表する1枚と言われているだけのことはありました。こうやって、評価しなおせたのも、ブログのおかげと感謝する次第であります。
それでは、「Karma Police」の画像(たぶんPV)を見つけましたので、ご覧下さい。