海水浴スタイル
お盆休み中のある日、
朝から来ていた2カップルの4人組のお客さんがいた。
男も女も早々に水着に着替え、座敷に自分たちの場所を確保すると、
早速、女の子2人が新品のうきわを手に、
「すいませ~ん。空気入れ貸してくださ~い。」
と売店にやって来た。
「そこにあるから、どうぞ。」
と使い方を教えると、
「あと生ビール4つお願いしま~す。」
と言った。
オレが、
「空気入れたらすぐ海に行くんじゃないの?」
と聞くと、
「まずは景気づけに1杯。」
と言って、うきわとビールを持って戻って行った。
その後も、入れ代わり立ち代わりビールやチューハイを買っては、
飲んで、しゃべって、笑って大盛り上がりしていた。
景気づけの1杯どころではない。
延々と飲み続けている。
静かになったと思えば、今度はうきわを枕に居眠り。
ニーチャンが売店に来た時に、
「ずっと飲みっぱなしで外に出てないんじゃない?一応ここは海水浴場だぜ。」
と聞いてみた。
すると、
「いやぁ、海で飲むのはサイコーに気持ちいいね。」
となどと言っている。
「海でって言ったって、海の家の中じゃぁ居酒屋と変わらねえんじゃねえのか?」
「そこは雰囲気雰囲気。」
と笑っている。
まあ、確かにまわりは水着に海パンばかりだからその通りなのだが。
結局、ほとんど一日をそうして過ごしていた。
夕方になり、帰る準備を始めたニーチャンたち。
ネーサンたちが、うきわの空気を抜くのに苦労している。
オレは、
「手伝うよ。」
と言って、ネーサンたちからうきわを受け取った。
空気を抜きながら、
「せっかく買ったこのうきわも、ネーサンたちの枕にしかならなかったな。かわいそうに。」
と言うと、
「そんなとこないよ。さっき海に入ったもん。」
と言った。
「えっ、いつ?全然気がつかなかったけど。」
「海にいたの5分ぐらいだったからなぁ。」
と横にいたニーチャン。
「たったそれだけ?」
そして、
「ずっとここで飲んで寝て、ちょっとだけ外に出てまた飲んでって、これオッサンの飲み方と同じじゃねぇか。」
と言うと、
「でも、一応海にも入ったし。」
とネーサンたち。
ニーチャンたちも、
「そうそう。いつもこんな感じ。これが俺らの海水浴のスタイルだし。」
と言って笑った。
昔なら、海でこういう飲み方をするのは、オッサンだけたったが、
どうやら、最近はオッサンだけではないようだ。