酒の力とは言っても | Sea Breeze Season8

酒の力とは言っても

7月も半ばを過ぎ、梅雨が明けた頃の週末。


男6人女2人のグループ。


そのうち1組は夫婦らしい。


朝から来ていたそのグループ。


はじめはみんなで飲んでいたが、


そのうち好き勝手に行動しはじめた。


海に入る者。


飲んでいる者。


スポーツ新聞を読んでいる者。
(意外と競馬の予想をしているお客さんは多い)


その中のひとりがビーチに出て行った。


海に入るのかと思ったら、向かった先は二人組の女の子のところ。


女の子というより大人の女という雰囲気。


この二人もうちのお客さんだ。


二人とも黒髪のロングヘアーで見事なプロポーションをしている。


後ろ姿を見ていると、


どんな美人なんだろうと思うくらい素敵なお姉さま方だ。


男はパラソルの下に座っているその後ろ姿に声をかけた。


が、正面に回って二言三言話したら、さっさと戻ってきてしまった。


「ふざけんなよ!


といいながら。



知らない人が見たら、さえない男がお姉さま方に軽くあしらわれたように見えただろう。


理由はわかっていた。


男が引いてしまったのだ。

とにかくこのお姉さま方のメイクが派手なのだ。


そこまでするかというくらいド派手で賑やかな顔に仕上がっている。


腰ミノを巻いてハワイアンダンスを踊ったら似合いそうだ。


文句を言いながら戻ってきた男は、仲間と飲み始めた。


やけ酒ぎみに。


朝、来たときはこの男だけはそれほどビールも飲まず静かにしていた。


が、今はガンガン飲んでいる。


酔った勢いでまたフラフラと出て行った。


今度は酒の力を借りてナンパしようというのだろう。


でも泥酔している男に声をかけられて喜ぶ女の子などまずいない。


この後も何人かに声をかけていたが、


1人もモノにできなかった。


当然だ。


その間に、このグループも、


一人減り、


二人減り、


残ったのは、この男とあと二人だけ。


酔っぱらいを連れて帰る役目らしい。


結局、海に入ることもなく、ただ泥酔しにきたこの男は、


連れの二人に両脇を抱えられて運ばれるように帰って行った。


酒の力も景気付けにはいいが、飲み過ぎては何の力も発揮しないということだ。