秘密の地下工場は節電にも威力発揮 ヤマザキマザック
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全国的な電力不足が懸念される今年の夏。休業日の変更やサマータイム制の導入など各企業は電力消費削減に向けた知恵を 絞る。こうしたななか、エアコンを設置しないことで、電力消費を従来比9割削減に成功した工場がある。室内温度は「エアコンレス」ながら夏場は28度以 下、冬場は18度以上と一定。一体、どんな秘密があるのか…。
岐阜県美濃加茂市郊外の丘陵地。工業団地内を貫く幹線道路沿いに、工作機械大手、ヤマザキマザック(愛知県大口町)の関連会社、ヤマザキマザックオプトニクスの工場がある。
敷地内に足を踏み入れると、まず見えてくるのは総ガラス張りのピラミッド型の建物。が、他に建物はなく、あとは緑鮮やかな芝生が広がるだけ。実は、工場は地下11メートルに埋め込まれている。ピラミッドは地下につながる入り口だ。
建物の一部が地下という工場はあるが、すべてが地下に潜っているという世界でもまれな施設。驚異的な省エネ達成の秘密はここにある。
「地中の熱を利用することで温度を一定に保っています」。同社の担当者はこう話す。地中熱は1年を通し、ほぼ温度が一定だ。美濃加茂市の気温は、夏場には38度、冬場には氷点下と厳しい気候だが、工場の地温は年間を通し16~18度。これを利用した。
仕組みはこうだ。地下工場の周囲に風洞を張り巡らす。夏は、地上の吸気口から吸い込んだ熱い外気を風洞で循環させ、地熱によって冷却。工場内に供給する。冬はその逆。地熱で暖めた空気を工場内に吹き込む。その結果、工場内は一定の温度に保たれている。
地下工場は延べ床面積約1万平方メートル。従業員140人が働き、レーザー加工機を組み立てている。
実は、地下に工場を置いたのは、ホコリの少ないクリーンな環境を求めたことがきっかけだった。レーザー加工機は、内部に反射鏡をいくつも埋め込んだ超精密 機器で、チリやホコリ、振動は大敵だ。以前は防塵性を高めた工場で製造していたが、30センチ四方あたりのホコリの数は300万個までの低下が限界。必要 レベルとされる15万個には程遠い。出荷前には洗浄作業が必要だった。
求めるクリーン度の達成には窓も通用口もなく、密閉性が高い地下が理想という。また、地下1メートル以上は地上の振動が伝わりにくく、精密機器には快適な環境。そこで全地下式の工場が計画された。
ただ、密閉式の地下施設では空気の循環も必要。大型エアコン設置が解決策のひとつだが、この方法を取らず、空気循環は 工場の周囲に巡らした風洞で行うことにした。エアコンなしでの空気循環、気温調節、そして省エネを実現した。前例がない取り組みで「念のため」非常用にエ アコンは設置したが、稼働は年に数回にとどまる。
総工費は35億円で、同規模の地上工場に比べ25%のコスト高。だが、クリーンな地下工場での製造で、従来の洗浄工程が不要になるなど効率化が進展。平成20年の稼働以来、消費電力の削減と合わせ長期的なコスト削減につながるという。
すべてを手探りで始めた試み。ヤマザキマザックの森中晴夫専務は「他社と同じことをしていてはだめ。次の工場を建てるときも地下になるのでは」と話している。(内山智彦)
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記事を読めば判りますが、どうやら地下に工場を造った動機は、省エネではなく精密機械のための清潔な環境を求めてのことでした。工場とは言っても原材料から加工するような工程はなく、精密機械の組み立てが主のようですので、火災などの危険性は低そうです。
またリンクにのっている通気口の写真を見る限り、空気の循環はかなりしっかりしてそうで、排煙も他の工場よりも優れているのかもしれません。これなら、消防署も文句は言わないのかなあと思いました。
コストについても25%高と明記してますから、ランニングコストの削減を行って、どの程度で回収できるのかも明確になっていそうです。
唯一耐震強度については記述が見当たりませんでしたが、素人目には地下の方が地上よりも強度があるように感じます。これも周辺の地盤によるんでしょうね。
なんにしても、これから注目される事業形態になるでしょうね。