日本と日本人は、多勢に流されやすいとよく言われますが、本当に毅然と態度を決めるときは、そんなことはないのではと思っています。
1980年代の後半、日本には嘗てない経済膨張の時代がありました。所謂バブル景気という奴です。
まれにですが、バブル景気を懐かしむ声などを聞くこともありますけど、あの時代が良かったなんて本気で思っている人は、ほとんどいないと思います。
バブル景気は終わってしまったのではなく、日本人が終わらせたものであるのですが、時間が経過したからでしょうかそのことを忘れている人も少なくないようです。
少し当時のことを思い出してみましょう。
1986年頃から、貿易摩擦による内需拡大の政策により、多くの公共事業など国内の産業振興が重要視され、異常な円高へと推移しました。輸出産業のうち自動車製造などは(もちろん貿易摩擦の緩和目的もあり)アメリカやイギリスなどに自動車工場を移転させ、現地生産を活発化させることで円高不況を乗り切りました。
国内においては、内需拡大策が功を奏して経済が活性化し、輸出産業以外の産業は好況へと向かいました。また円高により輸入品の価格が下がり、輸入実績もヨーロッパからの輸入は多いに増えて(アメリカはいまいち)、ファッションブランドや欧州車がたくさん輸入されました。フェラーリやジャガー、アストンマーチンなど、プロ野球選手じゃなく普通のサラリーマンが乗り回す時代でした。
また、円高の恩恵により海外旅行がものすごく増えて、海外へブランド買物旅行に行くOLたちが成田へ押し寄せていきました。
そうやって買っても買っても、そのうちお金を使いきれなくなって、金余り現象を起こし始め、企業も人も投資先を求めて様々な金融商品や不動産などを購入し始めます。特に不動産は「土地神話」などと呼ばれ、その場所がどういう状況であろうとも(とんでもない田舎であろうと)すべて投資の対象になる勢いでした。
特に特徴的だったのは、リゾートマンションとよばれる建物が、避暑地や観光地などにたくさん作られたことです。リゾートマンションなので夏休みや週末以外はひっそりとしていて、新築なのにスラムのような状況になっていました。本来なら必要のない不動産も、投資先として買われていったのです。
賃貸のアパートやマンションも、家賃が急上昇し住んでいる人の家計を逼迫しはじめました。ただ、家賃が上がるくらいならまだましでした。まだ建てて数年の物件も、投機の対象となってしまったがため立ち退きを要求されるようになりました。所謂地上げの始まりです。
突然地上げによって住む場所を奪われたり、犯罪などに巻き込まれる人も多かったと思います。立ち退きによって保証金などを受け取れる場合もありましたが、多くは降り掛かった災難のような出来事でした。
人々は好況によって給与が増えたり、特に金融や証券会社ではOLの夏のボーナスが100万を越えたりしていましたが、お金は増えてもちっとも幸せではないと、多くの人が感じていました。そのうえ、土地や家などが高くなって、マイホームの夢は遠のくばかりです。そのうち過剰な投資が問題になるようになりました。
こんなはずではなかった、この狂乱経済を終わらせなくてなならない。
僕は当時、人々がこの上辺だけの景気にうんざりして、はっきりとNOを突きつけたのを憶えています。
地上げで出来上がった不動産物件は、そのうち買い手がつかなくなりました。報道などで印象が悪すぎたからかもしれませんが、民意というかこのおかしな経済状態はいつか終わるから、いま買うと損してしまうという感触もあったでしょう。
バブル崩壊に関する実際の分析は違うようですが、僕は日本人が自らの意思で、これ以上放置しておいたら大きな痛手を被ると判断し、終わらせたと感じました。少なからず損害を受けた人もいましたが、多くはバブルに踊らされた本人に責任があると、世間の反応は冷たかったと思います。
バブルを終わらせた後、日本経済は下降し低迷傾向にありますが、当時の判断は間違っていないと思います。しっかりした意思に基づいて決めていることで、損害は最小限にとどまったのではと思います。異論はあるとは思いますが。
今の日本は、バブル崩壊どころではないとてつもなく大きなターニングポイントに来ています。災害に対する備え、エネルギーをどのようにするかなど、今考えなくていつ考えるのかという時期だと思います。
というわけで、少しだけ続きます。