そこには、冴えない中年男性が毎日深夜帯に働いている。
私は一人で残業し、
帰りにコンビニに寄ると、
冴えない中年アルバイト店員が必ずいる。
ずっと…
何年も…
かれこれ、10年は働いている。
私は、仕事場を変えていない。
彼もアルバイト先を変えていない。
かれこれ、10年間。
私とそのアルバイト中年男性は、
客と店員の関係を保っている。
一言も話したことがない。
アルバイト中年男性の移動は、自転車だ。
勤務時間は、23時から。
そこまで知ってしまっている。
10年もいれば、そりゃ、だいたい分かる。
そして、そのアルバイト中年男性は、
一時期、違うコンビニで働いていたこともあった。
ちょうど5年前。
私が、離婚したてで、
好きでもない男性と一夜を共にして、自暴自棄になっていた時。
私は、一夜限りの男性とあるコンビニに入った。
その時いた、冴えないアルバイト中年男性は、
紛れもなく、私が足繁く通うコンビニでバイトしていた方だった。
なんでこんなところで会うのか…
私の印象は違うと思う。
職場近くのコンビニで私が見せる顔は、
まさしく仕事モード。
それが、ワンナイト後の私とワンナイト相手と腕を組みながらコンビニで物色する姿は別人に見えたに違いない…
と、思いたい。。。
そんな冴えないアルバイト中年男性と、
またもや、コンビニ以外の場所で会うことになる。
そこは、
子供の保育園の運動会。
冴えないアルバイト中年男性は、
どうやら、
ウチの保育園に通うシングルマザーと付き合ったらしかった。
シングルマザー子持ちと、
冴えないアルバイト中年男性が、
保育園の運動会を微笑んで見てる。
こんなアルバイト中年男性の顔を見たことがない。
ってぐらい、冴えない中年アルバイト店員が笑っていた。
にこにこ
嬉しそうに話してる…
嬉しそうに、付き合っているであろうシングルマザーの子供を一緒に見つめてる。
意外な瞬間だった。
冴えない中年アルバイト店員は、
恋するチカラによって、
違う表情を見せるようになった…
接客も、シングルマザーとお付き合いをしてからの方が明るい気がする…
全然、冴えなくない…
彼女さんできてよかったね
と心の中でつぶやく。
と同時に、
自暴自棄になっていた時期の私のコンビニ立ち寄りの瞬間を、
お願いだから忘れていますように…。
私達は、
一言も交わさない。
だけど、
お互いが、
みんなが知らない自分…
を知っている…
恋する姿は、
美しい。
みなさん、良い週末を…