徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑 | ごあごあ D.O.M.

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地獄で悪魔な死霊から、いけにえのはらわたがえじきになる。したたります

盛大にネタバレしてます。気になる人は読まない方がよいかと

監督:牧口雄二
出演:汐路章 川谷拓三 内村レナ

1976年の日本製トーチャーホラー

公開当時は東映の異常性愛路線で成人映画として公開されていますが、現代の観点から見て、あえてトーチャーホラーと呼んでしまいます。
この作品は劇場公開の後、2012年に東映ビデオ株式会社からDVDが発売されるまで、幻の残酷映画として語り継がれていました。
まだDVDが出る気配が微塵もない頃、池袋の名画座で、石井輝男監督と牧口雄二監督の特集オールナイト上映の時に、私はこの作品と出会いました。

ストーリーを簡潔に紹介します。
この映画は2部構成となっており、1部と2部にはストーリー上、明確な繋がりはありません。
繋がっているのは「残酷」という、キーワード。

序文


タイトル

このタイトルバックの音楽がもの凄いふざけてて、居心地が悪いんです。初鑑賞時はこの音楽がかかった時点で不穏な空気を感じました…

第1部

長崎奉行の隠れキリシタン弾圧は凄惨を極め、惨たらしい拷問が日々繰り返されていた。

汐路章演じる長崎奉行の高坂主膳は、まれにみるサディストで、お国の為、また自らの欲望の為、次々と新しい拷問を行い、楽しんでいた。


汐路章の狂気の演技。子供の時に見たらトラウマ確実です(成人映画なんで見ちゃダメだけど)。

拷問紹介、釜ゆで地獄


足潰し地獄


その他、蛇地獄やら、丸焼き地獄やら…

そんな中、長崎奉行所の佐々木伊織は蛇に噛まれた所を村娘の登世(内村レナ)に助けられ、恋仲となる。


牧口ビューティー、内村レナ! もう、大好き。

しかし、登世の家族は邪宗徒として長崎奉行所に連れて行かれ、拷問の果てに登世と妹のみつ以外は死んでしまう。
登世は高坂主膳の側女として迎えられ、みつは目を焼きごてで潰されてしまう。


イモリ直食いして登世を犯し、さらにそれを伊織に監視させるという、極悪非道極まれリ高坂主膳。
汐路章、ガチでイモリ食いちぎったとか。


目を潰される幼女。この後、道端にポイされます…

この狂った世界から、佐々木伊織は登世を救い出して逃げ出そうとするが、無念。


ああああああああ…

そして、登世は「牛裂きの刑」にかけられて、五体不満足となってしまうのでした…


次から次へと起こる不幸に、私は劇場内で放心状態でした…

そして、高坂主膳は…

「裂けたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」と感極まって大絶叫

その後、高坂主膳は邪宗徒取り締まりの功績により小さいながらも一万石の大名に取り立てられ、それから寺社奉行にまで出世した… めでたしめでたし… あぁ…

ふぅ… さて、気を取り直して。

第2部

うだつの上がらない男、捨蔵(川谷拓三)は女郎の非道さを目のあたりにし、遊女のお里を足抜けさせて一緒に逃げ出した。


初鑑賞時、拓ボンが出てきて、すごく安心した記憶があります。内容はまだ悲惨なんですが、雰囲気がちょっと明るくなった。

行きあたりばったりの2人は悪どいことをしながらも懸命に生きていたが、ついにお縄となってしまう。


拓ボンといえば! なシーンであります。1部に比べれば、この辺も意外と楽しく見れます。

2人とも拷問にかけられ、「鋸引きの刑」として、町にさらされ、道行く人は自由に首をノコで刈ってもいいこととなった。

しかしお里の方は、まだお金を生む価値があるというので女郎部屋に引き取られていく。

ある夜、晒し者として残った捨蔵の前に不審な男が通りかかった…

この瞬間の劇場内の空気の変わり様がすごかった。

ストーリーは以上です。

いわゆる見世物映画なんですが、同年のアメリカ・アルゼンチン映画「スナッフ/SNUFF」や
ヤコペッティのモンド映画、「悪魔のいけにえ」なんかの影響を多大に受け
強烈に下世話で残酷な作品に仕上がっています。
人によっては笑って見るだろうし、つまらなく感じる人もいるでしょうね。
もちろん怖がる人も。
私は初鑑賞時、多大なパワーを感じました。
「悪魔のいけにえ」「死霊のはらわた」「ブレインデッド」「魔 デビルズ・オーメン」を
初めて見た時と同じように。

DVDが出ると知った時はもう、天まで登る気持ちに。

手持ちのDVDです↓

左は日本版。右はオランダ版だったかな(PAL版)? 日本版出るまでは右側ので飢えをしのいでました。
まぁ、何度も見るものでもないんですが(精神的に、ね)。
PAL版をNTSCに変換した海賊版なんかも昔は売ってました。

牧口雄二監督は1975年~1977年までしか映画監督としての活動がなく
その後はテレビの方へ行ってしまいました。
残された映画作品群を見るかぎり、かなりもったいなく思います。
ショック映画を専門に撮っていたわけではないですが、ショックシーンの演出は異常に冴え渡っており
特にストーリーと演出の結びつきが相乗効果で悲惨さ、不穏さを高めていくという
ホラーの基本にして最大の武器を活かしきっているところが、すばらしいです。
もう、溜息と嗚咽が同時に出る感じでw

牧口監督はもうひとつ「女獄門帖 引き裂かれた尼僧」という傑作を撮っています。
こちらの方もすごいですよ!

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