パートと言うか、アルバイトになりますが。
20年以上前、某都心の駅前を1人で歩いていたところ、中年男性に声をかけられた。
簡単なアルバイトをしないか、とのこと。
たまたま用もなく暇だったので近くの簡易的な事務所について行った。
その人は芸能事務所の社員で、仕事の内容は、街を歩く可愛い女の子に声をかけて、連絡先をゲットすること。
バイトする日はいつでも良くて、自分がやりたい日にその人に電話して某駅前に行く。
偽名の名刺を用意してもらい、女の子に名刺を渡して声をかける。
その男の人は仕事中近くにいて、自分の仕事ぶりを見ている。時々彼から「あの子に声かけて」と指図を受けることもあった。
一日に20人とかノルマがあって、達成したらその人に連絡先を書いた紙を渡して、それで終わりというもの。(女の子には後で事務所から連絡がいくとのこと)
バイト代は時間に関係なくもらえて、早い時は2,3時間で終わる。
一回いくらだったかな?
7000円くらいだったかな。
そんなに悪くなかった記憶…
女の子は私が可愛いと思う子で良いらしく、いろんな子に片っ端から声をかけた。
大体半分くらいの子は止まってくれて、その半分くらいは電話番号を教えてくれた。
まだ全員が携帯を持っていない時代だから、自宅の電話番号を教えてくれたり。
中には、事務者に所属してるから、といって断る子もいた。そんな子は確かに飛び抜けて可愛いかった。いや、光り輝いていた、と言った方がいいかもしれない。
こんなど素人でもプロと同じくらいの見る目があるんだなぁ、と我ながら感心した。笑
事務所はその駅から一駅行ったところにあって、給料は月締めでもらった。
タイムカードも何もない、会社と自分の記録を照らし合わせて、間違いがないか確認するだけ。
そして現金を手渡しでもらう。
たしかに芸能事務所っぽいところではあったが、特別有名な事務所でも何でもない。
壁にはドラマか何かのポスターが貼ってあって、部屋で所属タレントらしき若い男女が談笑していることもあった。
都会にはこんなような弱小の芸能事務所が山ほどあるんだろうなぁ、とぼんやり思ったものだ。
結局、就職して普通に忙しくなってしまい、そのバイトはやめた。
いつでもやっていいから、また連絡頂戴と言われた。
その人の名前も未だに覚えてる。
結局その連絡先をもらった子たちがどうなったのかは知らない。
もしかしたら今頃スターにでもなっているのかもしれない。