それから3日後。
責任者に頼まれた資料をまとめ、提出したときのこと。
「あ、ええとこにきたな。
こないだ言ってた件な、とりあえず12人。
早いほうがええから、もう明日から面接始めるんやけど、予定表見るか~?」
そこに4人ずつ、午前・午後に分かれて振り分けられていた。
ふつうなら、顔も名前も知らないので、見たところで
『ふーん』
程度で終わるのだが、その中に知った名前が一つあった。
「斉藤かよ、ですか。」
「ん?なんや?知り合いか?」
「30歳、やや背が小さくてショートで、話しやすそうなやつじゃなかったですか?」
「じゃ、たぶんあんたの知ってるやつやろーな。
声かけたんか?」
「いや、たまたまですわ。しかもよりによって…」
「なんかあんのんか?」
「嫁紹介してくれたダチですわ…」
「そーなんか!そらやりやすいやろーな!
ま、見回りの最中にでも声かけたげーな!」
ほんまに偶然だった。
相手もここで私が働いていることは知らない。
ここに来る前、1日違いで入って仕事で知り合ったダチ。
半年後に私は先に辞めて、稼ぎのよさそうなこの職場へきたのだが、その後もたまに遊んだりはしていた。
その繋がりで嫁を紹介してもらうことになったのだが。
ま、知らない人ばっかりのところに仲のよい人がいれば、少しは楽になるかも。
そして、見学日。
会うことはできず。
私はトラブル対処で別のところに駆り出されていた。
でも、どうせなら、入った時にびっくりさせてやろう!
その2日後に新人用帽子を被って自己紹介していたが、あまり似合ってないので、笑いそうなのをこらえていました。
その後、持ち場でトラブルで呼ばれた時にかよは
初めて存在に気づいた。
え?なんで?という顔をよそに、トラブルを解消させ、軽く手を振って見回りに戻る。
後から待ち時間にさんざんいじり倒したものの、ちょっとホッとしたようで、がんばってくれそうな感じだった。
そのほかの11人も順次入社し、慣れない作業に苦戦しつつも頑張っているように見えた。
『本当の苦労は、今教えてもらっている先輩軍団が抜けた後やぞ、今のうちにがんばれ!』
そう、昔を思い出しながら仕事に戻るのでした。