その①




『今の仕事を辞めたいんだ。』




散々彼氏に夜中電話で愚痴ともぼやきとも取れるような
その苦悩を話し込んで、どんどんグダグダになって来たときに、
最後の最後に脳裏に浮かんだ言葉。






SMには興味がある。
けれど、アタシの中のSMはそこに愛があってこそで。
誰か一人の人と愛し愛されたい欲求の上に成り立ってて。



そして、それはM性感のプレイでも同じであると。
つまりはこれまで仕事を通じて相手の性癖や身体を受け止めて
愛する事が出来たのは、結局今の彼が居なかったから出来たコトで。






そう。
プレイは楽しい。
いやらしいコトも大好き。
身体も心も愛してあげる。



そんな風に思いながらオシゴトしてこれたのは、
アタシ自身のそんな性癖を受け止めてくれる相手が居なかったから。



そして、その相手が出来た今。
一番楽しくて気持ち良いコトをするのは彼じゃなきゃダメになった。
これまで誰を好きでもこの部分はオシゴトで楽しむのが一番と思ってた。
だって、やっぱり性癖は性癖だもの、と。



子犬クンの時には、こんな事実に気づかなかったのに・・・・。















情けない話。



結局はSMで追求したがってるのはただの技術。
技術を追求していくコトで、M性感嬢としてのレベルを上げるコトで、
オシゴトに対する愛が減ってしまってもこの仕事を今のまま
続けていくコトが出来るようにしたかっただけの話。



『風俗なんてただ単に性欲処理の場であって。
 身体をお金に変える場所』



そんな割り切った考え方だってちゃんと持ってたハズだった。
一応それなりにオトナなつもり。




だけどそれだけじゃ悲しくて。
せめてその決められた時間の中にどんな形でもいいから、
少しでも愛があって欲しいと。
そういう風に自分を誤魔化して。



まるで恋人同士のように。
愛する人を愛しむかのように。


代償行為で自分を正当化したかった。
そこにも身体以外の何かがあるモノなのだと思いたかった。
例えお金で買われたひとときの時間だとしても。




そうやって、この仕事をしている自分とそれを楽しむ自分の性癖を
何とかして誤魔化していたかったんだと・・・・






そして代償行為が必要無くなった今。
心も身体も愛で満たされて、アタシは変わった。
プレイすらも変わってしまった。







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